日々修行171 酒の影響は「度数×量×回数」

日本人が国民的に酒を飲むようになったのは江戸時代中期からだと言われています。大盃に並々と日本酒を注いで飲むのは黒田節や大相撲の力士の飲み方として知られています。大相撲で優勝したときや、大関や横綱に昇進したときに力士が豪快な飲み方をしているシーンを見たことがあるかと思います。

どれくらいの量なのかを知ったのは、栄養関係の仕事で出入りしていた相撲部屋の祝いの席でのことでした。その相撲部屋の兄弟力士がともに横綱まで昇進して、優勝回数も合わせて27回だったので、そのうちの何度かは現場で見ていました。

大盃に注ぐ日本酒の量も数えていて、並々の量だと一升瓶で6本分になりました。

日本人が江戸時代に飲んでいたのは1年間で四斗樽分だったという研究があり、72リットル(一斗18リットル×4)になります。一斗樽は一升瓶で10本分、升酒(一合)だと100人分の量です。

1年365日のうち3日に一合の量だと一斗をクリアしている計算になり、四斗だと三合の量なら休肝日を減らせばクリアできる量との計算になります。この計算には、実は重要なところが抜けています。

現在の日本酒のアルコール度数は15度(15%)ほどで、原酒は17〜20度ほどです。原酒でないものは水で割られています。江戸時代は発酵技術が低くて、これを水で割って出されていたので、その度数は5度ほどです。

今の日本酒の3分の1の度数であったので、それなら1年間で四斗樽分を飲んでも不思議なことではありません。そのような度数が低い酒しか飲んでいなかった日本人だけに、アルコールを分解する能力が低いのも当然のことといえます。

酔いの程度は血液中のアルコール度数によって変わってくるということは日々修行163で書きました。血液中のアルコール度数は飲んだアルコール飲料の度数と飲んだ量によって決まってきます。

これは酔いだけの問題で、肝臓への影響は、その酔いがどれくらい続いたか、つまり飲酒の回数がどれくらいかによって影響の度合いは変わってきます。

飲酒が発症に影響する糖尿病や脂質異常症(高中性脂肪血症、高LDLコレステロール血症)を診断・治療している内科医は、このことは承知しています。しかし、飲み始めたときから今まで、どれくらいの年月を経ているのかということに目が向いていないことも見受けられます。

大酒家は1日にエタノールで100g以上、日本酒(15%)なら五合の量を1週間に5日以上継続して飲んでいる人で、10年以上を経過している場合を指しています。大酒家は日本人では240万人はいると推計されています。

大酒の期間が10年を超えると、身体へのアルコールの影響が積み重なってきて、内臓の機能が大きく低下することが指摘されています。
健康的な飲酒量は1週間で飲んだ量を合計して日本酒換算で二〜三合の量とされています。その飲酒量に達したのは、岡山に移住した8年前(2017年4月)のことでした。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕