発達特性11 脳科学から考える男女の差

性徴といわれる男女差が身体にはみられますが、それと同様に脳の構造や機能にも統計的にみると差があることが知られています。脳の重量は男性で概ね1400~1500gであり、女性が概ね1250~1350gであるのに比べると重いとされています。

脳が大きければ、その分だけ機能が高いとは言えないのは事実で、効率よく機能するためには右脳と左脳の連携が重要になってきます。この連携が女性は優れていて、重量の差を埋めています。

右脳と左脳(左右の大脳半球)をつなぐ脳梁膨大部は女性のほうが大きくなっています。このことによって右脳と左脳の情報伝達がスムーズに行われることになります。

女性は言語機能において左右両半球を活動させていて、左半球(左脳)を主に活動させる男性より高い能力を示すことと関連があるとされています。

また、空間認知機能を担う頭頂葉では、男性のほうが皮質の表面積が大きく(皮質の厚さは女性が大きい)、これが男性で空間認知機能がより高いことと関連しているとの報告もあります。

ただ、脳の構造や機能に関する男女差については、まだ充分に確立された所見とはいえないものも多いので、今後の研究を待たなければならないところがあります。

自閉症の発症には遺伝的要因が大きく関わっています。遺伝子がまったく同じである一卵性双生児における同時発現率は50~85%で、遺伝子がまったく同一とはいえない二卵性双生児の同時発現率の約20%より明らかに多いことは遺伝要因が大きいことを示しています。

一方で、一卵性双生児でも100%の同時発現ではないことが、遺伝要因以外の要素も一定程度関わっていることを示しています。

遺伝要因が大きいことから、自閉症の発現と関連があるのではないかと考えられる遺伝子の研究が活発に行われています。現時点で100以上の自閉症と関連がある可能性のある遺伝子が報告されていて、それらは性染色体を含むヒトの染色体23対のすべてに存在しています。

自閉症の発症に関わる要因は多様で遺伝子については複数が関わっていると考えられていて、このことが自閉症がスペクトラム状態でみられ、個別差があることと一致することにつながると考えられています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕