食のリテラシー6 味覚の成長

「三つ子の魂百まで」という言葉があります。幼いときに表れた性質は、いくつになっても変わらないという意味で、幼いときの経験の重要性を説いています。

味覚の形成は3歳までの経験が大切で、遅くとも4歳までには一生涯の味覚の基礎を作り上げると言われています。

味覚を感じているのは舌にある味蕾です。味蕾の数は生まれたばかりの乳児には1万個以上あるのですが、3〜4歳から減り始めて、成人では75%ほどになります。そして、高齢者では30%にも減ってしまいます。

味覚には甘味、酸味、苦味、渋味、辛味、塩味などがあります。乳児のときに安心できるのは甘味で、離乳食を始めたばかりのときには甘味以外の味を受け入れようとしないことがあります。

酸味は腐ったものを感じさせる味で、苦味と渋味は毒物を感じさせるものであり、刺激的な辛味(とうがらし、わさび、しょうがなど)も乳児が受けつけない味となっています。また、塩味も強くなると塩辛い刺激のある味となります。

成長につれて、さまざまな食品を食べるようになると五感の違いがわかるようになっていきます。味蕾が受けた刺激が神経を通じて伝えられて、最終的には大脳皮質の味覚野で感じています。その記憶が“おいしい”“おいしくない”の判断の元になり、記憶に照らし合わせて味わうようになります。

和食の薄味や出汁(だし)の味は、3歳までに記憶することで敏感になっていきます。複数の味覚を組み合わせた複雑な味は、いろいろな食材を食べるようになってから身につくことから、10歳くらいまでなら間に合うと考えられています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕