健康情報学8 メディアの影響力の変遷

メディアの力を表す指標は、さまざまある中で、あえて重要な指標として使っているのは広告収入です。広告収入が多いということは、それだけ多くの人に視聴されているということで、健康情報を伝えるメディアとしての力も強いことになります。

かつての広告メディアは新聞、雑誌、ラジオ、テレビが主流で、これらは広告4媒体と呼ばれていました。1995年にWindows95が登場して以降はインターネットが急速に力をつけてきて、初めは“雀の涙”と揶揄されるくらいであったところから、右肩上がりで広告収入を増やし続けてきました。

インターネット業界全体の年間の広告費がラジオ広告費を上回ったのは2004年のことでした。

2006年には雑誌広告費を上回り、2009年新聞広告費を上回りました。さすがにテレビ広告費を超えるのは随分と先になるだろうと言われていたのですが、2019年にはテレビ広告費を上回りました。

そして、2021年にはインターネット広告費が4媒体の広告費を上回って、完全にインターネットが広告の主流となり、健康情報のメインの発信源もインターネットやSNSへと移っていきました。

新聞、雑誌、ラジオ、テレビともに広告費は下がる一方ですが、テレビ広告費は元々が高い水準になり、それほど大きく減少したわけではありません。しかし、今後の延びが期待できないこともあり、テレビ番組にかけられる予算は減り続けています。

そのため、健康に関する番組は最も重要と思われるテーマであるのに、レベルが高いとは言い難い解説者、データが使われていて、「正しい情報を正しく伝える」という健康情報学から逸脱したような番組が増えています。

その一方で、ネット情報は情報源が曖昧で、伝え方も偏りがあるものが横行していて、これも健康情報学という立場で正していく必要があります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕