食のリテラシー7 噛む回数はおいしさのバロメーター

子どもたちが食べているものと噛む回数を比べてみると、面白いことに気がつきます。

おいしいものは早く食べたいという気持ちはあっても、すぐに飲み込もうとするのではなく、口の中に長くとどめておくように何回も噛んでいます。逆に、おいしくないと、よく噛まずに食べる傾向があります。

子どもたちの咀嚼回数が減っていることを指摘して、よく噛んで食べられる食材を増やすように言われることが多いものの、やわらかな食材であっても、おいしければ噛む回数が増えます。

噛む回数が多くなるほど唾液が多く分泌されて、消化がよくなるとともに、唾液に含まれる消化酵素のアミラーゼがご飯などのデンプンと混ざって甘みが増して、もっとおいしさを感じるようになります。

成人の場合には一口について30回の咀嚼がすすめられます。1回の食事の平均的な口数(口の中に何回入れるか)は二十口ほどです。

一口につき30回咀嚼をしたら1食で600回になる計算ですが、実際の咀嚼を何回しているかを数えてみると1日で600回ほどとなっています。つまり、1日3食で計算すると一口について10回しか咀嚼していないことになるのです。

3歳は乳歯列が完成する時期で、特に指示をしなくても一口について15〜17回は噛んでいます。大人になると硬いものを食べるので、もっと噛んでもよいはずですが、実際には3歳児と変わらない回数となっています。早食いと言われる人(子どもでも大人でも)では5〜6回噛んだだけで飲み込んでいます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕