言い間違い9 思いもつかない

しっかりと計画して、準備もしてきたのに、予想もできなかったことが起こって、どうしようもなかったということが起こることは「思いもよらない」と表現すべきです。ところが、この状況を「思いもつかない」と言う人がいます。

これは誤用ですが、単なる誤用というよりも、思いつかない、考えもつかない、考えも及ばないという個人の能力のなさを示していて、それを正直に「思いもつかない」と言っている場合も少なくありません。

正しい使い方の「思いもよらない」は、その人の能力の有無、強弱ということではなくて、 「予想もしなかったことが起こる」ことを指しています。誰であっても予想ができないことであるので、これは仕方がないことと判断されます。

「思いもつかない」と発している本人としては、本当に考えが及ばなかっただけかもしれないのですが、多くの情報を収集して、これを分析する経験を重ねていれば、対処できたかもしれないことも多いのです。

それなりの見識と人材があれば、「予想もしなかったこと」が起こったとしても、簡単に諦めるのではなく、生き残り、乗り越えることもできるはずです。

それこそ3年にも及ぶコロナ禍は、まさに「思いもよらない」ことであって、どうしようもなかった、会社が潰れることも、人が離れることも防ぎようがなかったというのが一般的なことかもしれません。

しかし、これを乗り越えた人もいて、準備万端整えていたおかげで、「災い転じて福となす」という結果にすることができた人もいます。

「思いもよらない」かもしれないことに対して、思いを寄せていた人には、このような誤用の話など関係ないことと言えるかもしれません。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕