読み書きが苦手な学習障害児の多くは、文字を書き写すことが苦手です。書き写す漢字が示されたら、その漢字を読んで、次に漢字を記憶して、書き順に従って漢字を筆記していくことになります。
見たものを、そのままアレンジなしで書き写す、いわゆる丸写しは一般には簡単なことと認識されています。しかし、実際には見たものの形を覚えて書き写すという記号の複写のような作業をしているわけではありません。
目で見た漢字を、声を出す出さないに関わらず言葉(音声)にして、その言葉を漢字に変換して書くという作業をしています。しかも、漢字を一つひとつではなく、複数の漢字を組み合わせて、一つの言葉にして覚えて、その言葉の意味を理解して漢字を書くという高等な作業を行っています。
さらに漢字だけでなく、ひらがな、カタカナ、数字が加わり、学習が進んでいくと英文字がプラスされて、そのすべてを理解した上で書き写すことになります。これが日本語の特徴であり、複雑な記憶の経路を使って復元作業をしています。
発達障害の一つの学習障害の場合には、文字そのものが覚えられない識字障害、覚えたとしても書けない書字障害があり、短時間の記憶時間であっても変換に戸惑うことがあります。
識字障害と書字障害では、この作業が不可能ということではなくて、認知機能に問題がなければ読んで書くという書き写しを繰り返すことによって、読み書きの総合力を高めていくことも可能です。
繰り返すというと、続けて長い時間の取り組みが行われがちですが、発達障害の学習障害の場合には集中することが苦手で、長く続けるほど負担が急激に高まっていくことになるため、1日に10分以内で済む分量にして、期間をかけて書き写しに慣れていくことが大切になります。
それぞれの子どもによって認知の特性があり、引っかかりやすいところが異なっていることから、苦手な部分には時間をかける、アドバイスを丁寧にするといった心づかいも必要になってきます。
文字や文章の意味は理解できているものの、書くことに困難さがある書字障害ではパソコンやタブレットの文字変換ソフトを使用すれば対応することが可能です。
しかし、この方法は文字を書くことだけが困難な場合に使われるもので、キーボードの習熟は必要であるものの、変換ソフトを使用することによって書字の能力が高まるものではありません。
書字の困難さを支援するパソコンやタブレットのソフトとしては、見本を拡大する、一部だけ辞書機能を用いるといった方法も使われます。また、板書などが時間内に間に合わない場合には、タブレットの撮影機能を使って画像として記録して、あとで見返すことが許可される場合もあるのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕