発達特性17 聴覚過敏と運動の関わり

発達障害の五感の感覚過敏のうち運動に関わりがないのは味覚だけで、視覚、聴覚、嗅覚、触覚の過敏は、運動に大きな影響を与えます。感覚過敏の状態は本人だけのもので、周囲からはわからないものだけに、その困難さは理解しにくく、それが発達障害児を苦しめることにもつながっています。

本人はわざと下手にやったり、ルールと異なることをやっているわけではないため、そのことを理解して、身体を積極的に動かす機会やモチベーションを失わせるようなことをしないように注意しなければなりません。

聴覚過敏は耳から入ってきた音がすべて、脳に届いたまま反応してしまうことがあります。通常の聴覚の働きは脳まで届いた音の中から必要なものを選択して増強させ、逆に必要のないものは弱化させて、場合によっては聞こえないという状態にしています。

そのために教室での授業も、周囲の子どもや教師もうるさいとは感じない程度のことが、うるさくて仕方がない、勉強に集中できないということも当たり前のように起こっています。

ここがクリアできていない聴覚過敏の子どもにとっては、そこから逃げ出したくなるような厳しい状態にもなりかねません。

体育の授業で身体を動かすことは、教室での学習に比べると集中することは少ないために平気であろうと思われているところがあります。準備運動をするだけであれば周囲の音をうるさく感じても、号令をかける人の声を聞き分けることはできます。

ところが、競技では周りの音のために集中ができず、また跳び箱を跳ぶタイミングを教えるために声をかけてもらっても、うまく反応できないことにもなります。

球技では、ボールなどの音を聞き、周囲の声を聞いて集中して行うものだけに、音の選別ができないのは大変な困難となってしまいます。

個人競技の徒競走であれば大丈夫だと思われがちですが、スタートのタイミングを知らせるホイッスルや競技大会でのスターターピストルが大きく聞こえすぎて、中には「自分に向けて大砲を撃たれた感じ」にも聞こえることもあります。

そのために、身体がうまく反応できないためことから合わせてスタートできない、それどころが走ることを拒否してしまうということも起こっているのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕