日々修行222 「学びの伴歩」の挑戦

70歳を迎えての新たな挑戦として取り組んでいるのは「学びの伴歩」です。伴歩は「ばんぽ」と読んで、一緒に早く走る伴走ではなく、ゆっくりと、しかし着実に歩んでいくことを表しています。

学びの機会が得られなかった人や学びに困難さがある人に対して、周囲から応援するだけでなく、寄り添い、一緒になって進んでいくことを目的とした活動です。

その象徴的な存在は「岡山自主夜間中学校」で、一般社団法人基礎教育保障研究所が運営しています。

一般社団法人基礎教育保障研究所は2017年から取り組み、年齢にも国籍にも関係なく学ぶことができる岡山自主夜間中学校を運営しています。生徒の授業料や教材費は無料で、ボランティアスタッフの会費と寄付によって運営され、現在では日本最大規模の自主夜間中学校となっています。

それと手を取り合って進んでいくのは「児童発達サポーター」の養成に取り組んでいる特定非営利活動法人セカンドステージ連盟で、私が理事長を務めています。

この連載コラムは特定非営利活動法人日本メディカルダイエット支援機構の理事長として書いていますが、両方の理事長を兼務しているのは、学びと健康を結びつける意味と意義があると考えているからです。

そのテーマを掲げて推進しているのが取り組んでいるのが児童発達サポーターで、簡単にいうと国が推進している認知症サポーターの発達障害版といえるものです。

発達障害(自閉症スペクトラム障害、注意欠陥・多動性障害、学習障害など)は今ではすべての子どもの10人に1人にもなっています。中でも学習障害への対応は以前から叫ばれているにも関わらず、社会的な認知度の低さもあって、学びたくても学べない状況は依然として解決策が進んでいない状況があります。

その支援には学校や保育園、発達障害児支援施設(児童発達支援事業所、放課後等デイサービスなど)が取り組んでいますが、それにも関わらず発達障害への認識不足の状況があることが、社会的な支援が進まない原因にもなっています。

学びの環境を進めていくには、健康が重要であり、健康についても学ぶことによって仕事にも学業にも、また社会貢献にも取り組んでもらいたいという思いがあります。

「学びの伴歩」の活動には、学び支援に賛同していただける企業・団体などの有志の皆様の協力が重要ですが、私たちが協働して活動するのは支援を待ち望むのではなく、支援していただける企業・団体などの健康づくりに協力をさせてもらい、ともに「学びの伴歩」を推進していくことを願ってのことです。

学びの伴歩に初めて取り組む岡山県には、健康に関わる条件面で優位な特性を、さらに活かす働く人の健康度を高める心強い特徴があります。それは働く人と家族の健康づくりに積極的に取り組む健康経営推進の「健活企業制度」です。

健活企業制度は、全国健康保険協会(協会けんぽ)の岡山県支部によって独自に実施されているものです。健活企業宣言を行い、従業員やその家族が長く健康に過ごすことができるように、従業員への健康づくり活動を積極的に行う企業を増やすことを目指した健康経営推進の事業です。

岡山県や経済団体などと連携して健活企業をサポートする「晴れの国から『健活企業』応援プロジェクト」を立ち上げ、企業・団体の取り組みを支援しています。岡山県内には健活企業が2441事業所(2025年3月1日現在)あり、健康づくりの大きな力となることが期待されています。

学びの支援に対するリターンとして私たちができるのは、企業や団体に対する健康づくり支援です。学び活動の継続は、働く人の健康あってのことであり、健全な事業活動が継続されていることが重要であると強く認識しています。

健康づくりに積極的に取り組む企業・団体が役立てることができるコンテンツ(資料提供、講習、実践アドバイスなど)を提供するとともに、時代の変化に合わせて更新させています。

まずは関係性が深いところから「伴歩」の姿勢(ゆっくりと、しかし着実に歩んむ)で声をかけていきます。

この活動は、若い世代にアドバイスをして動いてもらいたいところではあるのですが、初めの活動が重要であることを認識して、自分の言葉で伝えるために、一人ずつ、一社ずつ訪ね歩いていくこととしています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕