「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、身体状況調査を説明しています。その中から食品成分表の利用を紹介します。
〔食品成分表の利用〕
食事調査によってエネルギーと栄養素の摂取量を推定したり、献立からエネルギーと栄養素の給与量を推定したりする際には、食品成分表を用いて栄養計算を行います。
現在、我が国の唯一の公的な食品成分表は「日本食品標準成分表2020年版」(八訂)ですが、栄養素の定義に関しては、食事摂取基準と日本食品標準成分表(八訂)とで異なるものがあります。
日本食品標準成分表(八訂)は、日本食品標準成分表2015年版(七訂)からの改訂の際に、エネルギー量の計算に関連する大きな変更がありました。
日本食品標準成分表(七訂)では、基準窒素量に換算係数をかけてたんぱく質の質量を、食品中の有機溶媒可溶性成分の総質量として脂質の質量を、それぞれ算出していました。
炭水化物の質量は、水分、たんぱく質、脂質、灰分などの合計を100gから差し引いて算出していました。そして、これらにAtwater係数を乗じてエネルギー量を算出していました。
日本食品標準成分表(八訂)では、エネルギー量の計算において、たんぱく質はアミノ酸組成によるたんぱく質、脂質は脂肪酸のトリアシルグルセロール当量が使用されることとなりました。
炭水化物は利用可能炭水化物・食物繊維・糖アルコール・有機酸のそれぞれの質量が算出され、エネルギー量の計算の際に使用する係数も細分化されました。
よって、個々の食品の可食部100g当たりエネルギー量は、食品によって日本食品標準成分表の改訂前後で増加したり減少したりしています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕