日々修行227 「噛ミング30」の裏付け

噛む回数の重要性については2回前(日々修行225)で紹介しました。

そのときに伝えさせてもらったのは咀嚼の考え方で、食べ物が口の中に入ってきたときには、まず粗噛みを7~8回して、それから10回以上は噛むのが通常の咀嚼の状態で、咀嚼をしてから飲み込むことによって消化も進みやすくなるということでした。

そして、3歳児は誰に教わることもなしに一口につき平均17回は噛んでいること、軟らかなものを食べている子どもでさえ17回なので、硬いものを食べている大人なら30回以上は当たり前のように噛まなければならないはずだ、ということです。

しかし、実際には多くても7~8回でしかなくて、軟らかなファストフードやハンバーグ、カレーライスなどでは4~5回くらいと粗噛みの段階で飲み込んでいる人も多くいます。「カレーライスは飲み物」と豪語する人さえいます。

どれくらいの回数が目安なのかというと、一口につき30回以上噛むことがすすめられています。この裏付けとなっているのは厚生労働省によって始められた「噛ミング30」(カミングさんまる)です。

口に入れた食べ物を多くの回数噛むことは、食べ物を充分に粉砕するとともに、多量の唾液を分泌させて、安全に飲み込むことができるようにしてくれます。硬い種実類(ピーナッツやアーモンドなど)であっても25回ほど噛むと唾液と混ざり合って、喉を通過しやすくなる“嚥下食塊”になることが知られています。

高齢者の場合には、噛む回数を多くすることは誤飲を防ぐ効果も高くなっています。

健康のためには「一口につき噛むのは30回」といっても、軟らかな食品や料理ばかりでは30回も噛んだら流動食のような状態にもなりかねません。また、一口について30回噛まなければならないというのは、楽しいはずの食事を苦痛にさせることにもなります。

回数を意識するのではなく、噛むのに時間がかかる生野菜を増やす、食材を大きく切る、茹で野菜も茹で時間を短めにして硬めの状態で食べるようにすることで、自然のうちに30回ほど噛めるようになります。

30回を噛むのではなく、食品選びを考えて「30回は噛める料理を食べる」というのが正解ではないかと考えられています。

また、噛む回数を増やすためには、一口ごとに箸を置いて、噛むことに集中するようにすることで咀嚼回数が増えていきます。この方法は、満腹感を早く感じて、食べ過ぎを防ぐための方法としても紹介されています。

30回の咀嚼回数の説明として、歯の本数があげられることもあります。人の歯は切歯8本、犬歯4本、臼歯20本の合計32本で構成されています。それぞれの歯に感謝しながら1回ずつ噛むと32回になるので、キリのいいところで30回にしたということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕