学習のための栄養補給で最も重視されるのは糖質です。糖質は、ご飯、パン、麺類などの中心的な栄養素で、糖質が含まれている食品は唾液と胃液によって分解されて澱粉(でんぷん)になります。
澱粉はブドウ糖が数多く(数千個)つながった形をしていて、さらに分解されると麦芽糖になります。よく噛んでいると甘くなってくるのは麦芽糖に変化するからで、麦芽糖はブドウ糖が2個つながったものです。
ブドウ糖は脳が正常に働くためには欠かせないもので、脳の細胞は三大エネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)のうち、糖質のブドウ糖しか取り込むことができません。
脳細胞につながる毛細血管には、血液脳関門というゲートがあって、必要なものだけを通過させて、不必要なものを通過させないという機能があります。この機能によって、余計な成分が脳細胞に運ばれないように調整して、脳が正常に働くようにされているのです。
疲れたときに甘いものを食べると元気が出るのも、甘いものを摂ると頭の働きが回復してくるのも脳細胞に不足したブドウ糖が補われた結果です。
脳の働きを正常に保って、学ぶ能力を高めるためにはブドウ糖が必要だということですが、ブドウ糖は素早く吸収される特徴がある一方で、消費も早くて、ブドウ糖が不足すると集中力や記憶力が低下したり、気力が続かないようなことが起こります。
そのため、夕方以降にも学ぶ必要がある場合には、ブドウ糖が含まれた食品をとっておくのがよいことになります。
ところが、空腹のまま学んでいる例もあり、岡山自主夜間中学校では夕食を提供することができないため、栄養補給は各人に任されています。
実際には、自主夜間中学校の生徒は空腹のまま学んでいて、講師だけ食べるわけにはいかないと空腹のまま教えているところがあります。
少なくともブドウ糖が摂取できる糖質が多い食品を摂ってほしいのですが、経済的に、それができない実情があります。
ちなみに、脳の重量は全身の体重のうち2〜3%しかないのに、1日に消費されるエネルギー量の20〜23%を占めています。頭を集中的に使っているときには25%にも達しているのです。
〔セカンドステージ連盟 理事長:小林正人〕