「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、身体状況調査を説明しています。その中から食品成分表の利用の続きを紹介します。
〔食品成分表の利用〕
1日当たりの摂取エネルギー量は、日本食品標準成分表(八訂)を使って算出すると、日本食品標準成分表(七訂)を使用したときに比べて、40〜80歳代の男性で5.2%、女性で5.0%の低値であったとする報告があります。
このエネルギー量の変化は、あくまでエネルギー量の計算方法の変化によるものであり、実際にエネルギー摂取量が変化しているのではない点に注意が必要です。
食物繊維に関しても測定法の変更があり、成分値の大きく変化した食品があります。この点に関しては炭水化物の項に詳述されています。
日本食事摂取基準(2025年版)では、現在乳酒可能な研究結果などが主に日本食品標準成分表(七訂)相当の方法で計算されたエネルルギー量やエネルギー産生栄養素量を使用していることを踏まえ、指標値は日本食品標準成分表(七訂)に基づいて計算されたエネルギー・栄養素摂取量に対応するものとして策定されています。
なお、食品成分表の栄養素量と、実際に摂取量や給与量を指定しようとする食品の中に含まれる栄養素量は、必ずしも同じではありません。しかし、この誤差の方向や、その程度を定量化して示すことは困難です。そのため、食品成分表を利用する際には、この誤差の存在を十分に理解した上で柔軟な対応が望まれます。
また、食事摂取基準で示されている数値は摂取時を想定したものです。そのため、調理中に生じる栄養素量の変化を考慮して栄養計算を行わなければなりません。
栄養素の中には調理によって変化するものが知られており、水溶性ビタミンや一部のミネラルなど、無視できない変化率を示す場合もあります。
ビタミンCや葉酸などは調理後の残存率が低く(70%未満など)、ゆで調理をしてゆで汁を廃棄する場合には特に残存率が低かったとする報告があります。
日本食事標準成分表には調理後食品の収載が増えていて、調理による重量変化率を考慮した上で、調理後食品の成分値を使用して栄養計算を行うのが、調理損耗を考慮する一つの方法です。
ただし、栄養素の調理損耗の程度は調理条件によって大きく異なるため、栄養素の摂取量や給与量を計算して食事摂取基準との比較を行う場合には、慎重に対応することが望まれます。各種調理条件における栄養素の調理損耗に関する網羅的なデータの集積が期待されます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕