運動やスポーツは体力や運動技能の向上、他人との交流を通じた尊重の精神を身につけるなど、さまざまな効果が期待されています。
スポーツの楽しさは、どの子どもにも同様に体験させてあげて、それに取り組む大切さを教えてあげたいとの思いがあっても、極端に運動が苦手であったり、人並み外れて不器用な子どもにとってはスポーツが苦痛を与えることになり、中には苦痛しか感じないという例もみられます。
その原因として発達性協調運動障害(DCD:Developmental Coordination Disorder)があげられます。これは知的発達に遅れはなく、身体機能(筋肉、神経、視覚、聴覚など)に問題がないにも関わらず、協調運動に困難が見られる障害です。
日常的な協調運動が年齢に応じて期待される水準と比較すると不正確、時間がかかる、ぎごちないなど、いわゆる不器用といわれる状態となっています。
協調運動の困難さは、微細運動困難、粗大運動困難、バランス障害に分けられます。
〔微細運動困難〕
指先を使うのが苦手(箸がうまく使えない、字がうまく書けない、筆圧が弱い、ハサミで上手に切れない、ボタンが止められない、紐が結べない)
〔粗大運動困難〕
身体を動かすのが苦手(歩行中に物や人にぶつかる、縄跳びが跳べない、階段の昇り降りがぎごちない、自転車に乗れない、キャッチボールができない)
〔バランス障害〕
姿勢を保つのが苦手(片脚立ちができない、平均台の上を歩けない、まっすぐに座れない、座っていても体がそわそわする)
赤ちゃんのときにハイハイがうまくできなかった、転んだときに手が出ないために顔から転ぶといったことがあった子どもは、発達性協調運動障害の可能性が高いことが認められています。
協調運動は、脳機能の一つで、見る、触った感じ、体の姿勢、手足の動きなどの感覚をまとめ上げて、滑らかな運動を可能としています。このような体の動きによって、日常生活動作(食事、着替えなど)、手作業、運動バランス、姿勢保持、学習効率などの生活の質を保つために重要な働きをしています。
発達性協調運動障害の頻度は、すべての子どもの6〜10%とされています。また、自閉症スペクトラム障害や注意欠陥・多動性障害、学習障害の10〜20%に併存するとされています。
発達障害の特性に加えて、発達性協調運動障害があると、生活面だけでなく学習や運動の困難さがさらに高まることになります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕