無償ボランティアで、ギャラも交通費も出なくて、むしろボランティアが寄付をするという形のところもあるという話を前回(セカンドステージ49)、ボランティア貯金の説明として書きました。
ボランティア貯金の発想が始まったのは、東京の自治体での高齢化対策でしたが、そのときの会議の座長が私の叔父の社会福祉学者であったことから、会議の席にも加わらせてもらいました。
その当時の私は、臨床栄養の専門分野を高齢福祉の配食にも役立てる話を受けて、有料福祉としての弁当配布のボランティア活動を貯金のように積み立てていくプログラム(そのときはメニューと呼んでいた)を担当していました。
本人としては自分のやっていたことが評価されてのことと感じていたのですが、実際には叔父との関係を知った方々の忖度が影響していたようです。
ボランティア貯金は仕組みとして始めることは簡単ではあっても、貯めたボランティアの実績を使おうとしたときに、預けた先が存続していなければ破綻してしまいます。当時は、金融機関の破綻が始まっていた時期でもあったので、そこは重要な議論テーマでした。
ボランティア貯金の考えは、徐々に広まっていきましたが、うまくいかなかった例も見られるようになっています。
破綻が考えられない(と期待する)自治体で始まった例を、他の団体などが実施するときには少なくとも貯金が失われるようなことがないように母体の活動の維持が何よりも重要となります。
「ボランティアだから仕方がない」という言葉を吐いた失敗例とされる代表もいましたが、ボランティアという気持ちが重要なことであるので、金銭的に保証すればよいというものではありません。
「母体の活動が崩れてはいけない」というのは、叔父が会議で話していたことで、それを今でも覚えているのは、失敗例の多くが母体の活動が揺らいだ結果だということを見てきたからです。
〔セカンドステージ連盟 小林正人〕