言い間違い15 体調を壊す

無理をすると「体調を壊す」ことになるというのは、よく言われることです。壊す(こわす)結果になる無理というのは、どれほどのプレッシャーやストレスなのかということがテレビ番組のコーナーで語られたことがありました。

壊すというのは、ものを傷めて働きを失わせることを意味しています。家を壊すということだと、使えない状態になるので、これは壊すが相応しい感じがします。また、操作ミスでデータファイルを傷めた場合には、これも「壊す」でよいかと思います。

体調の場合はどうかというと、障害が起こることで具体的な部位などで使われる例としては「腹を壊す」があげられます。これは胃腸の状態が正常ではないことを指しているので、壊すというのは相応しくない表現です。

以前(言い間違い11)に「傷める」と「痛める」の使い分けについて書きました。これを使うなら、壊すは「傷める」になりますが、体調について「痛める」というのは壊すではなくて、別の表現が求められます。

ここで本題ですが、「体調を壊す」は誤用で、正しい使い方は「体調を崩す」です。

ひどい崩れ方をしても、回復は不可能ではないというのは道路の陥没でも崖崩れでも見てきたことです。体調も崩す程度でストップをかけて、壊すところまで進まないようにするのが大切になります。

本人が気づいていれば体調を壊す前の、さらに体調を崩す前にストップがかけられるものの、気づかないとブレーキを踏まないことになり、さらにアクセルを踏み続けるようなことにもなりかねません。

気づきのためには経験が必要ですが、その経験がない人(子ども、中でも発達障害の特性がある子ども)に対しては周囲がセンサーを充分に働かせることが重要になってきます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕