「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、指標別に見た活用上の留意点を説明しています。
〔エネルギー収支バランス〕
エネルギーについては、エネルギーの摂取量と消費量のバランス(エネルギー収支バランス)の維持を示す指標として提示したBMIを用いることとします。実際には、エネルギー摂取の過不足について体重の変化を測定することで評価します。
また、評価されたBMIが、目標とするBMIの範囲を下回っていれば「不足」、上回っていれば「過剰」のおそれがないか、他の要因も含めて総合的に判断します。
生活習慣病などの発症予防の観点からは、体重管理の基本的な考え方や、各年齢階級の望ましいBMI(体重)の範囲を踏まえて個人の特性を重視し、対応することが望まれます。
また、重症化予防の観点からは、体重の減少率と健康状態の改善状況を評価しつつ、調整していくことが望まれます。
〔推定平均必要量〕
推定平均必要量は、個人では不足の確率が50%であり、集団では半数の対象者が不足で生じると推定される摂取量であることから、この値を下回って摂取することや、この値を下回っている対象者が多くいる場合は問題が大きいと考えます。
しかし、その問題の大きさの程度は栄養素によって異なるため、推定平均必要量が以下の3つの方法のいずれを用いて算出されたかに注意を払う必要があります。
具体的には問題の大きさは、概ね次の順序となります。
a 集団内の半数の者に不足または欠乏の症状が現れ得る摂取量をもって推定平均必要量とした栄養素:問題が最も大きい。
b 集団内の半数の者で体内量が維持される摂取量をもって推定平均必要量とした栄養素:問題が次に大きい。
c 集団内の半数の者で体内量が飽和している摂取量をもって推定平均必要量とした栄養素:問題が最も小さい。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕