学びの伴歩11 寄り添う対象の拡大

この連載コラム「学びの伴歩」を書き始めたとき、以前から私の活動を見てきた人から「宗旨替えをしたのか」と聞かれました。

岡山に移住してから2年後(今から6年前)から発達障害の支援に関わることを書き続けてきて、実際に発達障害児支援施設の設立にも加わり、発達障害の社会的理解促進、発達障害の一つの学習障害の改善にも取り組んできていました。

そのため、新たな活動として「学びの伴歩」を周囲に伝えたときに学習障害に関するサポート活動について書かれるものと思っていたようですが、「岡山自主夜間中学校」を中心に据えて書いていたので、「宗旨替え」という言葉が出たようです。

自分としては宗旨替えではなくて、これまでの活動を膨らませて、同じ目的、同じ方向を見て進めようとしている方々との連携も、新たなステージを目指していくための活動のつもりでのことです。

勘違いがないように宗旨替えについて簡単に説明しておくと、宗旨は宗教の流派、宗門のことで、これを替えるというのは通常は仏教の宗派を替えることを指しています。仏教の世界での変更ではなくて、仏教からキリスト教に替えるという、いわば神様・仏様を変えるのは改宗です。

これに従うと「学びの伴歩」は、改宗でも宗旨替えでもなくて、同じ方向を見ている人との連携を進めていくために活動範囲を広げたという感覚です。

岡山自主夜間中学校では、月に1回だけ特別招聘講師として栄養と身体の関わりについて特別授業で話をさせてもらっています。

初めは、ずっと以前の夜間中学校のイメージが残っていて、私が中学校に通っていたころは、就労や家事手伝いによって昼間の中学校に通えなかった生徒のために義務教育の提供の機会として設けられました。

その当時は中学校夜間学級と呼ばれていたと記憶していますが、私が使っていた教室の机は、夜間学級でも使われていて、机は綺麗にして下校すること、机の中には物を残さないというのは当たり前のことでした。

それが時代を経て、社会的な事情によって義務教育が充分に学べなかった人、外国籍の人など、さまざまな方が学ぶ場へと変わりました。

その中には、発達障害と関係する学習障害の方もいて、社会の理解と支援が受けられなかったために学ぶことの重要性を強く感じている人も多くいます。

学習障害に限らず、発達障害は障害に渡って特性が続くことから、発達障害の支援と自主夜間中学校(公立ではなく民間によって運営)の支援は切り離すことができないという考えがあったからです。
〔セカンドステージ連盟 理事長:小林正人〕