Dietの意味への質問と返答

テレビのディレクターから辞書がわりの連絡がありました。辞書を引いたり、サイト検索をするよりも簡単で早いということでの確認のメールのことですが、今回の話はdietの意味です。私たちはdietには、もともとやせるとか、食べないという意味はない、と話しています。具体的な、どんな確認なのかというと「the national diet building」という表記は「国のダイエットのビル」ではなく、国会議事堂駅の英語表記で、dietは国会という意味、ということ番組で取り上げたいということでした。
これは正解なのでYesと返答すればよかったのでしょうが、そこは説明をしないと気が済まないところで、なぜ国会が一般の人がイメージするダイエットになったかという話をしました。
dietの元々の意味は作戦、方針、戦略などで、それが転じて国の方針などを決定する国会を示す言葉となりました。正しいと思うことを議論して決めていくのがdietで、それに従った行動することもdietとなりました。さらに健康のために正しいことをするのがdietとなり、そこから食事療法を指すようになりました。欧米人が健康の話をするときにdietを使ったら、そのほとんどは食事療法のことです。
Dietだから、やせるための食事療法、つまり食事の種類や量の制限、場合によっては糖質制限もdietとなりそうですが、目的に合った正しい食事をするのがdietであり、何も食べる量を減らしたり、食べたいものを我慢するのがdietではないのです。日本人が使っているダイエットは、そちらのほうの意味合いなので、あえて食事で我慢を強いることをダイエットと呼ぶようにしています。
それに対して、目的に合った正しい食事は英語のdietで表すと伝わりにくくなるので、どのようなネーミングがよいだろうかと臨床栄養の専門家の方々と検討をする中で生まれたのが「メディカルダイエット」でした。初めは食事療法としてのダイエットを指していたのですが、食事をコントロールするだけでは目的の達成が難しい人もいて、運動を組み合わせた方法を始めました。
例えば、やせたい人は、ただ食事量を減らして、運動量を増やすということではなく、食事の前の運動で体脂肪の蓄積を減らす、食後の運動で筋肉を減らさずに体脂肪の蓄積を適度に増やすということができることから、メディカルダイエットはタイミングダイエットとも呼ばれるようになりました。身体の生理的な機能を活かした方法で無理をせず、無駄なく目的とする効果が得られるようになるということで、その研究と普及のために設立したのが日本メディカルダイエット支援機構です。
ここまでのくだり(件)をディレクターはしっかりと聞いていたはずはなくて、おそらくダイエットは食事療法のところまでだったと思いますが、最後に、運動もダイエットという言葉を使うときは、食事療法と同じ意味合いで運動療法であるべきで、それぞれの人に合った方法をやらないと運動療法にならないので、ただ歩けばダイエットというわけではない、というところはメモを取って理解してくれたようです。