短期間のダイエット効果は本物の効果なのか

「短期間に、こんなにも効果があったのだから、続けていれば、もっと効果がある」というのはダイエットの世界だけでなく、さまざまな健康効果、美容効果を示すときのトークとして使われています。実際に取り組んでいる人も、頑張ってやっているのだから、もっと効果が得られることを期待したいのは当たり前のことで、その方法が高価なものだったら、なおさらのことです。
ダイエット効果では、本当なら1週間の結果、1か月の結果、3か月の結果、そして6か月の結果と順を追った結果を示してくれたら本当のところが見えてくるのですが、そこまでのことをするにはお金がかかります。機能性表示食品のエビデンス(科学的根拠)でも、そこまでのことを求められていないので、限られたデータしか出さないのが普通のことです。そこで、どれくらいの期間のデータを出すのかというと、お金と手間を考えると、どうしても一番短いものとなりがちです。
1週間でウエストサイズ(腹囲)が急に短くなったら、これは効果がある方法だと信じたくなる人も多いことです。しかし、ウエストサイズを大きくする原因となっている内臓脂肪は蓄積されやすく、減少しやすいという特徴がなります。余分なエネルギーを摂ると脂肪に合成されやすく、有酸素運動をすると脂肪細胞に蓄積された中性脂肪が分解されて出ていくので、ウエストサイズを短期間で大きくすることも逆に小さくすることも比較的簡単です。
中には、ダイエット法を始める前に運動をせずに食事量を増やしてウエストサイズを大きくしておいてからダイエット法を始めるということも当たり前のようにされます。例えば、ダイエットの健康食品を摂ってやせたのかと思っていたら、テレビコマーシャルの画面に左側や左下という目線が向かいにくいところに「適切な食事と運動も実施しました」と書かれているものもあります。
どんなダイエット法でも、間違った方法でなければ内臓脂肪が先に減るので、1週間の取り組みでもウエストサイズは一定のところまで減っていきます。問題はそこからで、内臓脂肪が一定の量になってからは、なかなか減りにくいのが通常です。そして、今までよりも全体的に体脂肪が落ちていくと、重要なエネルギー源である体脂肪を減らさないようにする恒常性調整能力が働いて、減少にブレーキをかけるようになります。
しかし、この状態でもダイエット法を続けていると、また落ちていきます。ダイエットは停滞期があって、それを越えると落ちていくという階段状の減り方をするので、とにかく続けることで効果が得られるわけです。
内臓脂肪の蓄積を測定するにはヘソの高さで一周するのが基本的な方法です。内臓脂肪がつく位置は個人差があるので、いくつかの位置で測ってみて、その中で最も減少したところを採用するという困った方法をやっているところもありました。これでは数字が優先になって正確な効果が見えにくくなってしまいます。そんなちょっとしたところも効果的な方法なのかを見抜くために、チェックしたいところです。