三大ヒトケミカルのうち若い人に必要なもの

三大ヒトケミカルのα‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10については何度も説明してきたので、だんだんとメディアの方からの質問は減っていたのですが、雑誌記者から、これまでにない質問がありました。細胞のミトコンドリアの中のエネルギー代謝に必要な三大ヒトケミカルは体内で合成されているもの、加齢によって減少していって、これが代謝の低下を起こす原因となっていることを紹介して、だから中高年以降はサプリメントとして摂る必要があるということを説明してきました。
今回の質問は「若い人なら三大ヒトケミカルを摂る必要はないのでは」、「もし若い人が摂るとしたら、どれが有効か」という内容でした。三大ヒトケミカルが体内で合成されるピークは20歳代です。特に20歳代前半は合成量が多いので、20代までは「わざわざ補うことはないのでは」という考えが出てくるのは当然のことです。三大ヒトケミカルの減少から代謝が低下して、エネルギー産生が低くなっている人だとサプリメントとして補ったときに、疲れにくさ、疲労の回復、元気の度合いなどを実感しやすくなります。
若い人は体内で何も作用していない、ということではなく実感しにくいだけですが、そんな状態なので積極的に摂ろうとはしないと思います。しかし、補ったほうが間違いなくよい結果となるものがあります。それはL‐カルニチンです。体内で合成されるといっても、もともと少ないとしたら、これは補うべきものとなります。三大ヒトケミカルのうち欧米人では高齢になってから摂っても効果が出にくいとされているものもL‐カルニチンです。
どうしてかということですが、L‐カルニチンは肉に多く含まれている成分で、肉食の歴史が長い欧米などの国民は体内で合成される分に加えて、肉から摂る分が合わさって蓄積量が多くなっています。だから不足しにくく、サプリメントで摂っても効果が出にくいわけです。日本人の肉食の歴史が本格的になったのは今(2017年)から72年前の戦後からのことで、高度経済成長が始まった62年前から肉食が一気に増えました。体質的には体内の蓄積量を増やすまでいかなかった短い期間でしかないので、肉食が増えたといっても、まだまだL‐カルニチンは足りない状態です。これは若い人でも同じことなので、効果が出やすいわけです。
では、サプリメントとしてL‐カルニチンを摂れば、それでよいのかというと、摂り方に工夫は必要です。L‐カルニチンは肉に含まれる成分だけあって、動物性のたんぱく質と相性がよく、肉を食べることで、特にL‐カルニチンの含有量が多い羊肉を食べることで吸収されやすくなっています。サプリメントとしてのL‐カルニチンも同様で、動物性のたんぱく質と一緒に摂ると吸収率が高まります。動物性のたんぱく質は肉、魚、卵でもよいわけですが、食事をした後に摂るのがよいということになります。
L‐カルニチンについては、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。