ダイエットと便秘の関連性

ダイエットに取り組んで食べる量が減ると、どうしても便通が悪くなりがちです。便のうち80%ほどは水分で、残りの20%のうち約3分の1ずつが食べカス、剥がれた腸粘膜、生きた腸内細菌かその死骸となっています。カスは食品のうち腸から吸収されなかったもので、その多くは食物繊維が占めています。食物繊維が多く含まれたものを食べていれば便の量は増えていき、食物繊維の量が少ないと便の量が少なくなって便通が悪くなるわけです。
食物繊維というと野菜などに多く含まれています。しかし、含有量は種類によって大きく異なっていて、根菜類や芋類には多く、葉野菜には少なくなっています。食物繊維の量を比較するときに「レタス○個分」という表示がされることがありますが、レタスの食物繊維は少ないので、対象の食品や健康食品の中には多いように見せかけるために使われている表現です。葉野菜は器に盛ると多いように見えても、これを煮ると驚くほど少なくなります。野菜を食べて食物繊維を摂っているようでも葉野菜のサラダでは多くは摂れないのです。
便秘というと便の量が少ないことに加えて、硬くなることがあげられます。大腸は水分を吸収して適度な硬さにする役割をしていますが、大腸にとどまる時間が長くなると吸収される水分が多くなって硬くなります。便の硬さは水分量だけでなく、腸内細菌によっても変わってきます。善玉菌には腸内での発酵を進めて軟らかくする働きがあります。逆に悪玉菌には腐敗を進めて硬くする働きがあります。便通をよくするためには、善玉菌がエサとする糖質と食物繊維、乳製品を多く摂るようにして、悪玉菌がエサとする動物性たんぱく質と脂肪を減らすようにすることです。
食べる量を減らして、身体を動かすとお腹が空くからと、あまり動かないようにしている人もいます。そんなダイエット指導をしていた方もいます。身体を動かすと便通がよくなっていきます。これは「歩いたり運動をすると腰や腹の動きにつれて腸が動くから」と説明している方もいます。それもないわけではないのですが、それよりも大きな理由は腸が温まることです。このことは以前に紹介していますが、腸は皮膚と同じように毛細血管が多い末梢部分で、血管がよくなることで温かな血液が送られ続けることになり、運動することによって腸内が温まっていきます。
腸内細菌の悪玉菌は腸内が温かくても冷たくても増殖していくのに対して、善玉菌は温かな環境でないと増殖しにくく、発酵も進みにくくなっています。腸を温めることが、つまり運動をする機会、歩く機会を増やすことが便通をよくしてくれるわけです。ダイエットを成功させるためには、ある程度は食べる量を抑えたとしても、必要な栄養素は摂って、これを運動によって消費して、そして便通をよくするといったことが大切になってくるということです。