気になるところだけやせることは可能か

やせたいという人がいると、私たちは全体的に体脂肪を減らして、ほっそりとさせることを考えます。そのために、この人には、このダイエット法を、この方法で、というプログラムを提示します。ところが、ダイエットを希望する人から、「そんなに期間をかけなくてよいので、部分やせさせてもらえれば」と言われることがあります。全体やせよりも部分的になら範囲が狭いので簡単だろうということなのでしょうが、部分やせのほうが大変です。例えば、エステのような感覚で、お腹を刺激すれば、お腹がスリムになり、足を刺激すれば足の刺激した部分だけがスリムになると思っているのかもしれませんが、それができるなら苦労はしません。
脂肪細胞の中に蓄積されている体脂肪は、全身の細胞の量が増えると均等に脂肪細胞の中に入っていきます。体脂肪が減るときには同じ割合で減っていきます。だから、一部分だけの体脂肪を減らすことはできないわけです。では、気になるところを細くすることはできないのかということですが、気になるところは大抵、後になって脂肪がついてきたところです。太ったときに、お腹の一部分だけが膨らんできたとすると、その部分だけを細くすることはできます。一部分だけが目立って脂肪がついてくるのは、その部分の脂肪細胞にだけ多くの脂肪が入ったような感じがするものの、実際には、その部分には脂肪細胞の数が多くて、それぞれの脂肪細胞に均等に脂肪が入ることで、その部分だけが膨らんできたようになるわけです。
後から脂肪が多くついた部分ではなく、以前から気になってきた部分の脂肪を減らしたいということも当然の希望として出てきます。それが可能だったら一番よいのですが、どの部分かによって可能性がないわけではありません。CTスキャンを使って腹部を輪切り状態にした画像を見てみると、同じだけの体脂肪が蓄積していても外見的には違いがある場合もあります。その違いを起こしているのは、体脂肪と皮膚の間にある筋肉の量です。筋肉が多く、強ければ筋トレ運動によって鍛えることで引き締められて、筋肉によって脂肪を押さえ込むことができるようになります。これによって見た目的には脂肪が減ったようにもなります。
この引き締め運動によって体脂肪が燃焼して減ってくれればよいのですが、筋トレのような無酸素運動は脂肪燃焼効果があまり高くはありません。脂肪燃焼効果が高いのは有酸素運動です。となると、一番よいのは有酸素運動でありながらも筋肉を効果的に刺激するものです。引き締めたいところが腹部(ウエスト)や臀部(ヒップ)、脚なら、歩き方を変えるだけでも効果を実感することができます。歩幅を広げて歩く、踵から着地して、足裏から爪先に体重を移動させて蹴り出し、勢いよく前進するといった歩き方にするだけでも腹部、臀部、大腿(太もも)脹脛(ふくらはぎ)の筋肉が刺激されます。
歩く前に気になる部分を充分に曲げ伸ばしするストレッチ、しゃがんだり立ち上がったりを繰り返すスクワットをするだけで、その後のウォーキングによる引き締め効果を高めることができます。そして、きついかもしれませんが、特に気になる部分を筋トレによって強めに刺激してあげれば、より引き締めが実感できるウォーキングとすることができます。