「歩けば健康」か「歩けるから健康」か

歩くことの健康効果について、ウエルネス科学の研究者の大学教授にインタビューしたときのこと、理屈が次々に出てくることを期待していたら、「歩けば健康になれるのだから理屈なしで、とにかく歩けばよい」と言われて驚いたことがあります。理屈ではなく、まずは歩いて健康になって、それから必要ならば理屈を知ればよい……という大局的な話かと思ったら、そうではなくて、本人が健康になればいいじゃないかという考えに「?」が浮かんだものです。
大学で教えている相手は体育の教師の卵で、どうしてなのかという理屈も教えて、身体でも頭でも納得して、それを生徒や次の指導者に伝えていく立場であると考えていたことから「?」が浮かんできたわけです。
この場面に出くわしたとき、ある神社の御利益を思い出しました。(余談ですが、ある局アナが「ごりえき」と読み、その後も番組終了まで訂正も修正もなかったことがありました)
その神社は山の上にあり、長く急な階段を登った先に社殿があり、社務所に御利益が掲示されていました。そこには「足腰壮健」とありました。これを見て思ったのが、ここまで登って来れたら、これは健康そのもの、神社にお参りしなくても来ただけで足腰壮健であることを確認できたのではないか、ということでした。
これを例に考えると、「歩けば健康」というよりも「歩けるから健康」というほうが正しいのではないかという感じもしてきます。逆説的なことを言っているわけではなくて、歩けるということは健康であることの証明のようなもので、歩いて血流がよくなると足腰だけでなく、上半身から頭の先まで全身の血流がよくなり、血液に乗せて新鮮な酸素も栄養素も全身の細胞に届けることができるようになります。
この酸素を使って栄養素の三大エネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)を細胞のミトコンドリアの中で燃焼させていきます。三大エネルギー源を燃焼できる形に変化させるためには各種のビタミンが必要になります。作り出されたエネルギーが細胞を働かせるためには各種のミネラルが必要になります。歩くことは、こういった全身の活力のエネルギーを効率よく発生させていくことになるわけです。
日本メディカルダイエット支援機構の理事長がウォーキングで訪れる和気神社(岡山県和気町)の御利益の第一には「足腰健康」が掲げられています。足腰健康は全身の健康ということで、まず和気神社まで和気駅から45分歩き、階段を上がって本殿に参り、帰りには日本一の鯉のぼり生産(3割シェア)の徳永こいのぼりの展示物を見て、時間があれば工場見学もして、勢いをつけるというコース取りをしています。
元気が続くときには和気駅から和気鵜飼谷温泉まで30分、追加で歩きます。温泉の健康効果についいては何度か紹介していますが、歩いて健康になった先に、もっと健康になれる温泉があれば、こんなによい健康コースはありません。ちなみに和気駅から和気鵜飼谷温泉の近くの和気ドーム(全天候型グラウンド)の横にはウォーキング&サイクリング専用の片鉄ロマン街道が通っていて、安心して歩けるというのも健康づくりにはもってこいの環境です。