マヌカハニーの流通量が多い理由

本物の商品が人気になると、必ずと言っていいほど偽物が出てきます。その一つとして話題にのぼっているのはマヌカハニーです。マヌカというニュージーランドだけに自生する花から採れるハチミツで、強い抗菌力によって口の中の菌、胃の中の菌、そして腸内の菌に対して威力を発揮します。胃には中高年になるとピロリ菌という胃がんの原因とされる菌(ヘリコバクター・ピロリ)が増えていきますが、これに抗えるものとしては抗生物質があります。しかし、抗生物質によって除去できなかった菌は耐性を持って、次からは抗生物質が効かなくなるという恐ろしい難点があります。ところが、ピロリ菌を退治することができる唯一の食べ物があります。それがマヌカハニーなのです。
マヌカの白い花は12月から1月までの現地の夏に咲きます。この季節には他の花は咲かないので、他のものが混じることがないという特徴があります。咲く時期が決まっているということは収穫数量も限られてくるということで、人気が高まるほど品薄になるわけです。ところが、日本には輸入量を上回るマヌカハニーが販売されています。上回っているものの多くがネットなどの通販です。
マヌカハニーと特有の色と濃さが特徴なので、さすがに普通のハチミツをマヌカハニーと偽って販売されることは少ないものの、マヌカハニーが入ったハチミツというものがあります。そのことをしっかりと表示してくれていれば、マヌカハニーとマヌカハニー入りのハチミツを間違って購入するようなことはなくなります。しかし、偽物を本物らしく販売する方法があります。これは日本のワサビの加工品にも見られるものですが、「本ワサビ」と「本ワサビ使用」は違うものです。使用と書かれたものは本ワサビ以外のものが使われているということです。
実際には日本特有の品種のワサビ(山葵)である本ワサビに、西洋ワサビ(ホースラディッシュ)を加えています。中には西洋ワサビに本ワサビを少しだけ加えたものもあります。西洋ワサビは色が薄いので、色素が加えられることもあります。本ワサビはアブラナ科ワサビ属、西洋ワサビはアブラナ科トモシリソウ属と品種が違います。西洋ワサビはローストビーフの付け合わせに使われているもので、本ワサビより1.5倍も辛い特徴があります。本ワサビ100%のものを選びたいということです。
本題に戻りますが、マヌカハニーの抗菌力は特有のメチルグリオキサール(MGO)によるものです。マヌカハニーのグレードは抗菌成分の量で決まってきます。MGOが多いものほどグレードが高いというわけですが、マヌカハニーの有効成分が判明していなかった時代に、UMF(ユニーク・マヌカ・ファクター)という基準を設けて評価されていました。今もUMFで示された製品もありますが、具体的な抗菌力を示すMGOの評価が高まっているのは当然のことです。MGOはマヌカハニー1kgに100mgが含まれていることを指していますが、MGOはニュージーランドの1社が商標登録しています。
MGOはグルコース(ブドウ糖)が加熱されるときにも発生するといいます。抗菌成分が多ければよいということではなく、加熱していないことが重要です。ここが偽物が登場する余地となっていて、抗菌物質が多ければよいというなら加熱によって増やすことができるわけです。この加熱が実は問題で、加熱によって5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)が増えます。HMFには発がん性も認められていることから、加熱されていないものを選ぶのは当然のことです。