カルシウムと鉄のダイエット効果

カルシウムと鉄は女性では不足しがちなミネラルです。カルシウムといえば骨を強くして、さらに神経伝達のミネラルとなること、鉄は貧血防止のミネラルということが広く知られています。この二つがダイエットに役立つと話すと、「ダイエットでイライラするのを解消してくれるのはわかるけど」という反応はよく聞かれることですが、イライラ解消はダイエット効果というほどのことではありません。一つには代謝をよくしてくれる効果です。
カルシウムは1日に600mgは飲食から摂る必要がありますが、このうち吸収されるのは30%ほどです。残りは、ただ排出されるのではなく、腸管を刺激して収縮させ、いわゆる蠕動運動によって腸内のものを先へ先へと送り出す働きをします。もう一つはカルシウムを摂ることによってダイエットに役立つというよりも、不足すると太るということで直接的ではないダイエット効果となります。
そのメカニズムですが、生命維持のために1日に180mgのカルシウムが必要になります。だから、30%の吸収率であるので600mgが必要となったわけです。これよりもカルシウムの摂取量が不足すると、不足分を補うために骨の中に蓄積されたカルシウムを分解する働きがある副甲状腺ホルモンが分泌されます。そのために一時的に血液中のカルシウムが増えます。
カルシウム不足のために血液中のカルシウムが増えることは“カルシウムパラドックス”と呼ばれます。濃くなったカルシウムの一部は脂肪細胞の中にも入っていきます。脂肪細胞の中にカルシウムが多いことは正常ではないので排出しなければならないわけですが、そのために脂肪を多く作り出します。この余計に作られた脂肪を脂肪細胞に入れることによって不要なカルシウムを排出させます。
この脂肪を作り出すためにカルシウムが多くなった脂肪細胞からは脂肪酸合成ホルモンが分泌されます。これによって肝臓で多くの脂肪が作られるようになります。ややこしいメカニズムですが、カルシウム不足は太るということだけは知っておいてほしいことです。
次に鉄のダイエット効果ですが、鉄というと赤血球の赤い血色素の構成成分で、酸素を結びつける性質があります。鉄が不足すると酸素を運ぶ能力が低下します。特に女性は生理によって赤血球が失われると鉄も減っていくことになるので、酸素不足による貧血を起こすことになるわけです。
鉄には他にも役割がありますが、中でも重要なことがエネルギー産生の最後の仕上げに欠かせないことです。エネルギー産生は三大エネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)を細胞のミトコンドリアの中で燃焼させることで進んでいきますが、ミトコンドリアのTCA回路の電子伝達系で電子をやり取りするときにエネルギーが発生します。その最後の段階で鉄が必要になるので、鉄が不足すると充分にエネルギーが得られないことになります。三大エネルギー源を燃焼させることはダイエットに結びつくと同時に、作り出されたエネルギーによって全身の細胞の活動を高め、さらにダイエット効果を高めることができるのです。
カルシウムと鉄については、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。