乳酸は善玉か悪玉か

運動と乳酸の話をしているときのこと、「乳酸に善玉と悪玉はあるのですか」という質問に続いて、「ダイエットできる乳酸について聞きたい」という声が会場からありました。前者については答えがあります。乳酸は体内で糖質がエネルギーとなるときに不完全燃焼することで発生する疲労物質で、筋肉疲労の原因物質とされています。大量に発生すると分解、排泄しきれずに体内に蓄積され、疲労感だけではなく、肩こりや腰痛、頭痛などの原因になります。これは悪玉としての姿です。善玉の姿の話ですが、乳酸は無酸素運動で発生しやすくなっていて、有酸素運動によって分解することができます。分解するだけでなく、有酸素運動によって乳酸をエネルギーとして使うことができます。乳酸がたまったときに歩くことで多くのエネルギーを作り出すことができるのです。
この説明に多くの人は納得してくれたのですが、質問した人はポカンとしていました。その理由を知っていながら、わざと話をしたのですが、質問者は乳酸菌の善玉と悪玉の質問をしたつもりで、乳酸と言ってしまったようです。
次の質問のダイエットできる乳酸ということへの答えは、初めの返答で出ていますが、これも質問者の勘違いで、テレビ番組で取り上げていた「体脂肪を減らす乳酸菌」のことを知りたかったのに、乳酸まで2文字が同じだったので、間違えたとのことです。
体脂肪を減らす乳酸菌はラクトバチルス・アミロポラス・CP1563株のことです。一般にはCP1563株として知られています。カルピスが開発した乳酸菌で、ヒト由来の腸内に生息している乳酸菌の一つです。内臓脂肪低減 コレステロール値低下、血糖値低下の論文発表があり、これを根拠に機能性表示食品となっています。カルピスの販売であることをいうときに、アサヒビールのカルピスという言い方をしてしまい、これにも追加質問がありました。カルピス社は以前は味の素のグループ会社でしたが、今はアサヒビールのグループ会社になっていることを言いたかったのですが、一部を略していうとカルピスにビールが混じっているように聞こえてしまいました。
話を元に戻すと、CP1563株は死菌となっています。乳酸菌は生きて腸まで届くというのが優良なものの売り文句になっているようですが、死菌というのは死んでしまった菌を、わざわざ選んで使っているというのではなく、生きている菌を殺しています。表現は適切ではないかもしれませんが、乳酸菌は胃液に弱いものが多く、胃で死んでしまったら効果がなくなります。そこで死菌にして効果を固定させて、有効成分として腸へと送り込んでいます。吸収しやすくするために粉砕しています。
生きているよりも死菌のほうがよいと言っているわけではなく、死菌にしたほうが効果が得られるものがあるということを言いたいのです。