半身浴のエネルギー消費は本当に多いのか

半身浴で消費されるエネルギー量について紹介したところ、テレビのディレクターから連絡がありました。担当する番組では“半身浴は長く続けても効果がない”という主旨で放送したのけれど本当なのかと今さら不安を感じて、再確認のように連絡をしてきました。
入浴の消費エネルギー量については計算の基本が公表されていて、全身浴は体重1kg当たり1分間では0.0606kcal、半身浴は0.0534kcalとなっています。入浴のほうが消費エネルギー量は多いわけですが、実際の消費エネルギーの差は計算をしてみればわかります。
体重50kgの20代の女性が全身浴を10分間した場合ですが、女性は男性よりも消費エネルギー量が少ないので、この補正係数(20代)0.95をかけます。
「0.0606kcal×50kg×10分×0.95」で28.785kcalとなります。
半身浴は30分は継続できるので、3倍の長さ入浴したと計算します。
「0.0534kcal×50kg×30分×0.95」で76.095kcalとなります。
体脂肪1kg当たりは7200kcalのエネルギー量があるので、毎日30分の半身浴で1kgを落とすには約95日もかかる計算となります。1回当たりの入浴で減る体脂肪は10gほどになるので、
この半身浴の結果をもって、あまり効果がないとしたということです。
半身浴といっても、やり方によって消費エネルギー量は違ってきます。一般の計算式は入浴温度を38〜39℃にしていますが、私たちが正しい方法として紹介しているのは42℃での半身浴です。42℃の全身浴で身体を充分に温めて自律神経の交感神経の働きを盛んにしてから半身浴に切り換えます。全身浴と同じ温度での半身浴によって全身浴と同様の燃焼効果が得られます。
一般には全身浴の消費エネルギー量は半身浴の消費エネルギー量の1.13倍なので、それほどの効果ではないように思われがちですが、長く継続することで全身の筋肉が温まることによって脂肪分解酵素のリパーゼの働きが盛んになり、燃焼も盛んになっていきます。これもあって1.3倍になり、全身浴よりも燃焼効果が高くなっているのです。
この情報を先に伝えておけば、今回のような質問はなかったはずです。
消費エネルギー量の割には、体重を測定すると10gや20gではなく、200g以上も減っているという人は多くなっています。中には半身浴を30分続けることで500gも減っている人もいます。これは脂肪が燃焼した結果ではなくて、汗が出た結果です。全身の60%は水分なので、汗を掻くほど体重は落ちていきます。
これもあって、入浴直後に水も飲まずに体重測定して、増えていないことに安心している人もいます。夕食前に入浴すれば、もっと減ります。しかし、これでは正確な状態はわからないので、体重測定は入浴の影響を受けない時間帯にするべきです。