20歳代は三大ヒトケミカルが必要ないのか

三大ヒトケミカルは、20歳代は体内で合成されるので“20歳代の方はサプリメントとして摂る必要はない”ということは繰り返して紹介してきましたが、「それを変えるべきでは」ということに遭遇しました。若い方のダイエット調査をしているときのこと、朝食を食べていない人、栄養補助食品や飲み物だけの人があまりに多くて、糖質と脂質は、それなりに摂れていても、たんぱく質が足りず、体内で補われるアミノ酸が不足している人が多いことに気づきました。アミノ酸は身体を動かすための酵素を作るのに欠かせない、というよりも酵素の材料そのものになっています。
材料がなければ作られなくなるわけですが、体外から入ってこないと体内成分を分解してアミノ酸を作るので、急になくなるわけではありません。しかし、この状態が長く続くと、身体の働きに影響が出てくるのは当然のことです。
酵素を作っているのは肝臓で、アミノ酸から酵素を作り出すためにはエネルギーが必要です。このエネルギーは三大エネルギー源の糖質、脂質、たんぱく質を材料にして、ミトコンドリアで燃焼させることで得られます。燃焼のためにはα‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10が必要です。これらの三大ヒトケミカルは糖質、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルを材料にして体内で合成されるためには、合成のためのエネルギーが必要です。エネルギーが充分に作られないと三大ヒトケミカルが充分に作られなくなり、そのためにエネルギーが充分に作られなくなり……という悪循環になります。
“なります”どころか、現状で悪循環に陥っている人がかなりいるのです。それがあるから、「20歳代の方はサプリメントとしてα‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10を摂る必要はない」とは言えなくなった、中には「必要だ」と言わざるを得ない人が、かなりの数いることがわかってきました。
では、三大ヒトケミカルを摂れば、それで解決できるのかということですが、このことはメディア関係者から質問されることでもあります。ミトコンドリアに取り込まれて燃焼に回されるのは、糖質のブドウ糖、脂質の脂肪酸、たんぱく質のアミノ酸が変化したアセチルCoA(アセチル補酵素A)という成分です。この変化には水溶性ビタミンがすべて必要になります。また、ミトコンドリア内のエネルギーを作り出すTCA回路で燃焼を進めていくためには、ビタミンB群(ビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂)を中心に他のビタミンも必要になります。これらのビタミンが不足していたら、三大ヒトケミカルが足りていても燃焼が充分に進まないということです。
ダイエットをしている方だけでなく、普通に生活しているはずの人でも朝食を食べていない、ビタミンが充分に補給される内容ではないという人があまりにも多くなっています。朝食を食べている人なら安心かというと、朝食を食べて夕食を抜いている人がいます。夕食抜きは朝食抜きより悪影響があるということは、これまでも紹介してきていますが、どちらかを抜いても、もしくはビタミンが不足していればエネルギーは充分に作られなくなります。
このことが「食べていないのにやせない」ということを起こす原因となっています。ここで触れてきたメカニズムがわからずに、さらに食べる量を減らそうと考える人もいます。食べてエネルギーを作り出すことが大事、作り出されたエネルギーを次のエネルギーを作り出すもととするために身体を動かすということを発信していくことこそ重要と感じているところです。
α‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10、ビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂については、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。