メタボは肥満だけでなく代謝もターゲット

メタボリックシンドローム(metabolic syndrome)というと内臓脂肪症候群という言葉が当てられているように、内臓脂肪が多く蓄積される肥満になることによって起こる動脈硬化疾患を予防することが一番の目的と一般には認識されています。日本メディカルダイエット支援機構は「メタボ対策が重要な役割」ということを言い続けてきたので、「メディカルダイエット=内臓脂肪減少」とメディア関係者に認識されてきました。メタボ対策は重要で、その一部が内臓脂肪を適度な量に減らすことであることも正しいことです。しかし、私たちは内臓脂肪が多い人だけをターゲットにして活動をしているわけではありません。この説明については「メディカルダイエット=内臓脂肪減少」という認識で質問をしてきている方々に、ここだけは認識してほしいということで話していることですが、それは「メディカルダイエット≠内臓脂肪減少」ということです。
メタボリックシンドロームは2008年から始まった特定健診制度に合わせて登場したもので、メタボリックシンドローム該当者、その予備群には特定保健指導が義務づけられました。腹囲(ウエストサイズ)が一定を超えていて、つまり内臓脂肪が多いことに加えて、高血圧、高血糖、脂質異常のうち2つが該当するとメタボリックシンドロームと診断されることから、とにかく内臓脂肪を減らすことが重要として対象者には運動や食事指導などが盛んに行われました。
メタボリックシンドロームは「メタボ」と略されて使われていますが、2008年の前にはメタボといえばメタボリズム(metabolism)を指していました。メタボリズムは代謝を意味する言葉です。
代謝にはエネルギー代謝と物質代謝があり、私たちは、どちらも重要との認識をしています。エネルギー代謝は三大エネルギー源の糖質、脂質、たんぱく質を細胞のミトコンドリアの中で代謝させてエネルギーを作り出すことをいいます。基礎代謝と言われる生命維持に必要なエネルギーはエネルギー代謝の一部となります。物質代謝は体内で物質の化学変化を起こすことを指していて、新陳代謝は、これに当たります。
代謝(metabolism)が正常に行われないことを代謝異常(metabolic disorder)と呼んでいます。Disorderは障害、不調、混乱という意味で、取りまとめていうと“正常でないこと”となります。
Metabolicは「代謝の」ということなので、メタボリックシンドローム(metabolic syndrome)は代謝の症候群、代謝症候群ということになりますが、すべての代謝症候群ということではなくて、実施されている対応ターゲットは「動脈硬化についての代謝症候群」ということです。
現状で言えば、メタボリックシンドロームは内臓脂肪症候群ではなくて、動脈硬化性疾患症候群であり、動脈硬化性疾患予備群にだけ運動指導と食事指導を実施すればよいということになります。
日本メディカルダイエット支援機構が中心的なターゲットにしているのは、動脈硬化性疾患予備群となる前の予備群で、このままの生活パターンを続けると予備群の仲間入りをするであろうと思われる人に対する運動と食事の情報提供と指導です。太っている人だけでなく、将来的に太る可能性が高く、それによって生活習慣病のリスクが高まる人への対応です。となると危機感がまだまだ低い段階なので、充分に理解してもらうための情報発進と、誰もが続けられるような運動法をアドバイスしています。