若い人のダイエットは代謝成分の不足が問題

太るかやせるかは食事量と運動量のバランスだと言われています。食事で摂るエネルギー量が運動で使うエネルギー量よりも多ければ太る、運動で使うエネルギー量よりも食事で摂るエネルギー量が少なければやせるという考えです。これは基本中の基本で間違ってはいないのですが、10代から20代前半の若い女性の場合には食事を減らしても、運動を増やしてもやせないということはよくみられることです。
“成長期”という表現は10代を指していますが、ダイエットに関しては10代から20代前半の女性は成長期に当たり、体内で生化学反応を起こす酵素の量は充分にあります。
成長のためのホルモンも充分すぎるほどあるので、“放っておいても太る”というような状態にあります。そして、22歳から23歳ころにかけて身体は引き締まるようになり、25歳を過ぎると酵素の減少から健康面と美容面の変化が起こってきます。
このような変化がある時期だけに、普通のダイエット法が通じないことがあります。普通のダイエット法というのは、食事を減らす、運動を増やすということですが、どうして食事を減らしてもやせないのか、運動を増やしてもやせないのかというと、一つには成長のための身体の働きが上回っていることが考えられますが、もう一つが実は大きな問題で、それは代謝成分の不足です。
脂肪を燃焼させるにはブドウ糖と脂肪酸を燃焼する形に変化させるためのビタミンとミネラルの不足です。これと同時に不足が指摘されるのはアミノ酸の不足です。20代前半までは代謝促進成分であるα‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10は体内で多く合成されていて、不足することはないとされています。しかし、この合成のためには材料となるアミノ酸が必要です。身体を構成するアミノ酸は20種類あって、そのすべてが充分に含まれているのが良質なたんぱく質です。それに該当するのは肉、魚、卵、大豆です。
アミノ酸の種類が揃い、それらが充分な量に達していれば、体内で必要となるたんぱく質が不足なく作られます。身体を動かすために必要な酵素もホルモンもたんぱく質です。これらの食品を充分に食べていないとアミノ酸が不足して、酵素もホルモンも不足することになるということです。
α‐リポ酸はブドウ糖を細胞のミトコンドリアに取り込むのに必要で、ブドウ糖が変化したアセチルCoAをエネルギー化させるためにも必要となります。L‐カルニチンは脂肪酸をミトコンドリアに取り込むのに必要となります。そして、コエンザイムQ10はミトコンドリア内でエネルギーを作り出すときの補酵素となります。この重要な働きをする成分であることから体内で合成されるわけですが、その合成のために絶対に欠かすことができないアミノ酸が不足しているのでは、運動をしても脂肪燃焼が充分に起こらないということになります。
そして、食事の量を減らしても脂肪の燃焼が充分に起こらないので、食べていないのにやせない、ということにもなります。
「食べることもダイエット」と言われますが、これは燃焼のために必要になる栄養素が含まれた食品を摂ることを指しています。燃焼に必要なビタミンはビタミンB群で、中でも不足しがちで多く摂らなければならないのはビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂です。これらは肉、魚、卵に含まれています。つまり、動物性のたんぱく源を欠かさないようにすることが重要だということがわかります。