スモールチェンジで栄養が不足

食品の高騰が続き、それを受ける形で食品製造会社も飲食店も決断が迫られています。その決断というのは値上げをするのか、それとも量を減らすのか、という二択のことです。今の時代、値上げをすると着実に消費者の反応が悪くなり、売り上げ低下につながるのは当然のことです。そこで各社が採用しているのが量を減らすことです。これを業界ではスモールチェンジと呼んでいます。これがNHKの番組で取り上げられてからというもの、食品の量が減ることによる健康面の影響への質問が増えました。他局のディレクターからも質問がありましたが、1食分を食べているのに思ったよりも栄養が取れないということがあるのかということを気にしているようです。
ダイエットを気にする人は、食品の表示を見て、エネルギー量が少ないほうを選ぶようにします。チョコレート1枚が307kcalのものと279kcalのものがあれば、後者を選ぶはずです。実際に279kcalとエネルギー量が少ないからと喜んでチョコレートを食べている人がいました。
300kcalというと、ご飯(米飯)なら茶碗に1杯半の量になります。少食の人だと1日に食べるくらいの分量のエネルギー量になります。
それが10%分ほども少なくなったので、安心とまではいかなくても、少しは気が許せる量になります。この10%分の差が別の商品なら話はわかるのですが、これは同じ会社の以前の商品とスモールチェンジした後の商品の差です。いつの間にか板チョコが小さくなっていました。実際の重量では55gから50gになっています。その前には1枚が70gだったときもあるので、食べすぎるといけないと言われたチョコレートが、知らないうちに食べすぎないようにされていたということです。
10%分の減量となると多くの人が気づきます。牛乳も1パックが1000mlという常識から900mlに減らされて、価格は同じというものが出てきています。牛乳が1000mlでないというのは以前に沖縄の牛乳パックで言われていました。
アメリカの一部であった時代にはガロン(gallon)という単位で、販売される容器も大きかったのですが、本土復帰のときに1000mlに近い量にするということで4分の1ガロンの946mlとなったという経緯があります。
米も値上がりしていて、コンビニでは人気のない産地の米を使っても、おにぎり1個100円のセールということは難しくなってきました。おにぎりの重量は110g前後で、白米の量が100gで、具材は10gが一般的です。白米100gのほうを維持するのではなく、100円を維持するほうが選択されていて、白米95gのおにぎりの登場となりました。
これからも食品が小さくなる傾向は続くはずですが、食品が小さくなると当然、1食で摂ることができるエネルギー量が減ると同時に、大切な栄養素も減ることになります。コンビニの食品なら買うものも量も自由に選ぶことができるのでよいのですが、業務用の食品となると、これに栄養摂取を頼っていた場合には、いつの間にか摂れているはずの栄養が実は摂れていなかったということにもなります。
これは量の問題だけでなく、加工食品の場合には価格が高い素材が減らされる場合があります。これによって病院で使われる入院患者のための食品の栄養量が低下しているということも起こっています。中身を変えられたら、それが表示されなかったら消費者は知ることができないということをディレクターに話をさせてもらいました。