生活習慣病患者のためのメディカルダイエット

血圧が高い、血糖値が高い、中性脂肪値が高い、LDLコレステロール値が高いということから、医療機関の医師などから運動をするように指示される人は増えています。指示はしても、指導をしてくれないということが多くて、運動をするのはよいとわかっていても、何をしていいのかわからない、だからやらないという人も少なくありません。
糖尿病などは食事療法と運動を続けたうえに医薬品を使うことで血糖値を正常に近づけていくことができます。血糖値を上昇させるのはブドウ糖です。血糖は血液中のブドウ糖のことを指すので、ブドウ糖が減ればよいということでブドウ糖が多く含まれる糖質を減らす糖質制限の食事をすすめる専門家もいます。それが有効な人がいることは認めますが、私たちは有酸素運動をすすめています。
有酸素運動の中でも実施が比較的簡単なウォーキングをすすめるようにしていますが、歩き始めて10〜15分はブドウ糖の燃焼が盛んになります。この時間を過ぎると「脂肪が燃焼する」と言われることが多く、「脂肪が燃えているだけでブドウ糖は燃えていない」と誤った情報も伝わったりしているのですが、10〜15分はブドウ糖だけが燃焼しているわけではなくて脂肪も燃焼しています。ブドウ糖は、すぐにエネルギーとして使われるので多くが使われるようになります。
10〜15分を過ぎたときには、脂肪酸の燃焼のほうが盛んになって、ブドウ糖の燃焼の割合が下がっていくだけで、しっかりと燃焼しています。長く歩くとブドウ糖の燃焼が進まなくなるということではなくて、歩く時間が延びるほど血液中のブドウ糖は減っていくということになります。
こんな話を書いたのは、医療機関から患者の運動が継続できるように協力してほしいという依頼があったからですが、糖尿病だけでなく高血圧にも脂質異常症(高中性脂肪血症、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症)にも対応しなければならないので、大丈夫かと聞かれました。これは私たちに対応する体制があるか、その能力があるかという問い合わせではなく、歩くだけで血圧も血糖値も中性脂肪値もLDLコレステロール値も正常範囲に下げることができるのか、という質問でした。これに対する答えはイエスです。
中性脂肪は脂肪酸3個とグリセロール1個が結びついたもので、ウォーキングなどの有酸素運動によって脂肪酸が燃焼すれば、血液中の中性脂肪は減っていきます。LDLコレステロールは有酸素運動によって燃焼することはなくても、有酸素運動をすることでHDLコレステロールを増やすことができます。HDLコレステロールが増えると、それにつれてLDLコレステロールが減っていきます。
血圧とウォーキングの関係ですが、そのメカニズムは完全には解明されてはいないのですが、血管が拡張して、血管壁にかかる圧力が下がることによって血圧が下がることは認められています。また、ウォーキングによって内臓脂肪が減ると、血管にかかる内側からの圧力が弱まるので、これによっても血圧は低下します。
私たちはメディカルダイエットを団体名に冠していることから、医療的なダイエットの指導の依頼はよくあることです。運動をして血圧、血糖値、中性脂肪値を安定させることは当然のことで、私たちは運動と食事、運動と休養、そして食事と休養のタイミングによって血圧降下、血糖降下、内臓脂肪減少などを実現させています。それこそがメディカルダイエットで、組み合わせることで“無理なく無駄なく”望むような結果を得ることを目指しています。それを理解してもらえるところからの依頼は積極的に受けるようにしています。