フルーツとスイーツによる満腹感と空腹感の変化

食品に含まれる糖質は、胃から分泌される消化液(胃酸)によってブドウ糖に分解されます。そして、小腸から吸収されたブドウ糖は血液中に入り、全身を巡って間脳の視床下部にある中枢にも運ばれていきます。中枢の一つの満腹中枢は視床下部の下側にあります。血液中のブドウ糖の量が多くなると神経伝達物質のセロトニンによって刺激されますが、多くのブドウ糖が送られてくると多くの食品を食べたことが認識されて、これ以上は食べなくてよいという情報が伝えられることで食欲が抑えられるようになります。
これとは逆に、血液中のブドウ糖の量が少なくなると、今度は視床下部の上側にある摂食中枢の働きが盛んになって食欲が高まり、ブドウ糖が含まれる食品だけでなく、すべての食品を食べたい気持ちが高まってきます。これが空腹状態で、血液中のブドウ糖が少ない状態が続くと強い空腹感が続くようになります。空腹状態を解消するには、ブドウ糖が含まれる食品や、砂糖が使われた甘いものを食べることが一番の対策となるわけですが、ダイエット中には太りたくない一心で、糖質や甘いものを我慢することから、さらに強い空腹を感じるようになってしまいます。
これを乗り切って我慢できればよいものの、我慢しきれなくなるとブレーキをかけることができなくなり、さらにアクセルを踏むことにもなりかねません。そのために食べすぎてしまい、前よりも太るようなことになるのがリバウンドです。
このようなことにならないようにするためには、空腹感が強くなりすぎる前に、ブドウ糖が含まれるものを摂っておくことです。そのブドウ糖が含まれる甘いものは、多くの量を摂る必要はありません。というのは、ブドウ糖が不足した状態では、ある程度の量を摂ると満腹中枢が優先的に刺激されて、空腹を感じなくなるようになっているからです。
空腹状態が長く続くと、エネルギー源のブドウ糖が大きく不足して、それを補うために脂肪細胞の中に蓄積された中性脂肪が分解されて、脂肪酸として血液中に放出されます。ブドウ糖が少ない状態のときに多くの脂肪酸が摂食中枢に送られると、さらに空腹感が強くなり、食事や甘いもの(フルーツやスイーツ)を食べたい気持ちが抑えられなくなっていくという仕組みになっています。