和食の「さしすせそ」と言えば、といったクイズ番組の定番に、最近の若者がトンチンカンな答えをするのを見て楽しもう(笑おう?)という主旨で放送されていますが、頓珍漢(トンチンカン)のほうはスルーして、正解は砂糖(さ)、塩(しお)、酢(す)、醤油(せうゆ)、味噌(そ)です。ただ語呂合わせをしただけでなくて、この順番に味つけしていくという話がミソとなっています。
今回の本題は、これではなくて、ビジネス会話の「さしすせそ」です。これもクイズ番組に取り上げられることがあり、まだ定番ではないものの、そこそこに知られるようになってきました。ビジネス会話といっても、これをテーマにして話をすればよいということではなくて、妙な言い方をすれば飲み会で女子社員が繰り出すお世辞の合いの手のようなものです。別の表現では「合コン相づち」とも呼ばれています。
“さ”は「さすがですね」、“し”は「知らなかったです」、“す”は「すてきですね」「すごいですね」、“せ”は「センスがよいですね」「センスが違いますね」、“そ”は「そうなんですか」「それはすごいですね」となります。若い女性の砕けた口調で言ってみると、なんだか軽いものということがわかります。ビジネス会話というよりも、ビジネスの調味料といった感じで、まさに味付けの「さしすせそ」と共通するところがあります。
「さしすせそ」はポジティブな要素があるものですが、これが「たちつてと」となるとビジネス界ではネガティブの要素となってしまいます。“た”は「大したことない」、“ち”は「違うと思う」、 “つ”は「つまらない」、 “て”は「適当に」、 “と”は「とんでもない」となります。こんなマイナスの言葉は使いたくはないわけで、もう一つの「たちつてと」を覚えて置きたいものです。
これは話題が途切れそうになったときに繰り出すこととして繰り出されることで、“た”は「旅」、 “ち”は「地域」、 “つ”は「通勤」、 “て”は「天気」、 “と”は「富(景気)」です。いわゆる雑談力が試される内容です。