大腸の内視鏡検査のときには食物繊維の不溶性食物繊維も水溶性食物繊維も摂らないようにする意味を前回、説明しました。それに対して、「大腸の術後にも水溶性食物繊維を摂ってはいけないと思っていた」という声がありました。食物繊維は大腸の粘膜の大腸壁を強く刺激するということが言われるのですが、強く刺激をするのは胃では消化されず、そのまま小腸を通過して大腸まで運ばれていく不溶性食物繊維のほうです。
水溶性食物繊維は「水に溶ける食物繊維」と表現されることがありますが、胃で消化されないのは不溶性食物繊維と同じで、溶けてしまったら食物繊維ではなくなります。水溶性食物繊維は胃の中の水分を吸って膨らみ、軟らかくなり、粘度が増していきます。その性質のために、胃の中にある余分な脂肪やビタミン、ミネラルの一部を吸着したり、胃から小腸まで、ゆっくりと移動することから糖質から分解されたブドウ糖は小腸まで届く時間が遅くなります。この後者のことから血糖値の急上昇を抑える働きがあります。
不溶性食物繊維と違って、大腸壁を刺激するようなことはないので、大腸の手術後に普通に食事をしてよいことになったら、水溶性食物繊維は摂ってよいわけです。摂ってよい、というよりも、むしろ積極的に摂ってほしいものといえます。というのは、不溶性食物繊維には便を硬くする作用があるのに対して、水溶性食物繊維には便を軟らかくする作用があって、便通をよくしてくれるからです。
フルーツを1日に200gを食べることがすすめられていて、その理由の一つとしてフルーツに含まれるペクチンをあげています。ペクチンは水溶性食物繊維で、煮たり、酸や糖を加えるとジャムになる部分です。フルーツを活用した健康法、ダイエット法を紹介している立場としては、ここは押さえておいてもらいたいことです。
ペクチンが多いのはりんご、プラム、柑橘類などで、少ないのは梨、柿、バナナ、パイナップル、ブルーベリーと一般に紹介されています。