喫煙とストレスの深い関係

ストレス解消のために喫煙している、と答える人は少なくありません。タバコを吸うとイライラ感が弱まる、集中力が高まると感じていると話をする人は多いのですが、これは喫煙本数が多く、喫煙期間が長い人に多くみられます。しかし、喫煙者がイライラを強く感じるのは中毒症状であり、喫煙によって低下している集中力が普通の状態に戻っただけであり、喫煙のプラス効果にも疑問が抱かれています。
喫煙するとシャキッとするというのは、薬物の中毒症状にある人が、薬物を使うと正常な状態になるのと同じように考えることができます。
タバコを吸うと、飲酒と同様に、生活習慣病のリスクが高まります。タバコの煙に含まれるニコチンは自律神経系の交感神経を刺激して副腎からノルアドレナリンやアドレナリンなどのカテコールアミンを分泌させます。カテコールアミンには心拍数と血圧を上昇させるだけでなく、冠動脈を収縮させる作用があります。喫煙によって、タバコを吸っているときだけでなく、吸っていないときにも酸素が不足するため、酸素を早く全身に送り届けるために交感神経の働きが盛んになって血圧が上昇します。
喫煙をするとインスリン感受性が低下して、血液中のブドウ糖が処理しきれなくなり、高インスリン血症となります。そのために膵臓が疲弊してインスリン分泌量が減り、血糖値が上昇していきます。タバコがインスリン感受性を低下させると、血液中のインスリンが増えてエネルギーを蓄えるようになり、その結果、血液中の中性脂肪が増えていきます。
また、喫煙は善玉コレステロールとも呼ばれるHDL(高比重リポたんぱく)を減らし、悪玉コレステロールとも呼ばれるLDL(低比重リポたんぱく)を増やすリスクの一つであり、これらは中性脂肪値の増加とともに動脈硬化を進める要因になっています。