発達障害児の発現率は、文部科学省の調査では約6.5%となっていますが、これは全部を明らかにしたわけではなく、まだ把握されていない子どもを含めると10%に達するとみられています。これは大きな割合であるのは間違いなく、発達障害は子どものときに発見して、早期に支援できれば状態を進めないようにする、改善させるということもできて、将来に社会人として活躍できる道が開かれているということです。
しかし、早期発見ができずに、もしくは親は気づいていても社会的な差別や受け入れ体制の問題もあって明らかにしてこなかったという例もあり、大人になってから発見されることも少なくありません。となると、どれくらいの数が実際にいるのかわからないということにもなります。そこで欧米のデータの約20%を推定値として考えるようにしています。
男子のほうが発達障害の発現率は高くて、実際に発達支援に当たっている人からは“7対3”ということが聞かれます。文部科学省のデータでは男子は女子の2.4倍という数字が出ていて、これはほぼ“7対3”に近い数になっています。男女合わせて10%の発現率とすると、男子は14%にもなる確率です。このことから欧米並みの20%の発現率とした場合には28%にもなります。
これまでの数字は、発達障害児の親にとっては、あまり重要ではないという声も届いています。というのは、これだけ多くの確率で出現する可能性があるということは、親にとっては半々の確率という感覚です。生まれてきた子どもが、発達障害であるのか、そうでないのかの、どちらかの確率ということで、出産にあたっても、発達障害の特性が現れてくる3歳くらいまでの期間は相当に不安を抱えている状態となります。
子どもが発達障害ではなかったことがわかって安堵したという母親と話す機会がありましたが、そのときに、よかったからといって、その後は発達障害のことを考えないで済むというような考えをするのではなく、これからは発達障害児の支援、発達障害を社会に広く理解してもらうための活動に力を注ごう、少なくとも発達障害児を理解してあげようという態度で動いてほしい、ということを伝えさせてもらいました。