食事をするときに、初めに野菜を食べることによって血糖値の上昇が抑えられるということは、テレビや雑誌などでも取り上げられるテーマの一つです。野菜ファーストが流行したのは2013年のことですが、NHKの「ガッテン!」(ためしてガッテンから名称変更)では2011年に紹介されています。調査によっては野菜ファーストを実践している人は50%を超えているといいます。
こんなに簡単な方法はないというのでヒットしているわけですが、単純に野菜を初めに食べればよいということではないのです。食物繊維を先に摂ることによって、その後に食べたものがゆっくりと吸収されるようになり、血糖値の上昇が低めになるということです。テレビ番組の中で食べる順番療法を実践している医師と管理栄養士が、野菜ファーストの効果を高めるためには野菜を5分かけて食べる必要があると説明していました。
トンカツを店で食べるときには、大盛りの千切りキャベツがついてきます。野菜ファーストを実践するなら先にキャベツを全部食べてからトンカツ、ご飯を食べることになるわけですが、実際にはキャベツを食べきってから初めてトンカツに箸をつけるという人は、ほとんど見られません。交互に食べる人がほとんどで、ゆっくりと時間をかけて食べれば、それでよいのではないかというのは理屈がわかれば普通に考えつくことです。
最初に食べるのは野菜だとすると、最後に何を食べればよいのかということも知りたくなります。それについては○○ラストという言葉はないのですが、最後に食べるべきは炭水化物だという考え方が広まってきています。腸から分泌されるインクレチンというホルモンがあって、これには胃と腸の働きを遅くする作用があります。そのために消化、吸収に時間がかかり、血糖値の上昇が抑えられるようになります。インクレチンはたんぱく質を摂ることによって分泌が促進されるので、先に肉や魚を食べて、最後に炭水化物が多く含まれる食品の、ご飯、パン、麺類を食べるのがよいということです。
ということで、野菜、肉か魚、炭水化物といった順番で食べればよいということになるわけですが、この食べ方が食文化に合っているのか、他の健康効果も得られるのかということになると疑問が残ります。