食べる順番ダイエットと口中調味は相容れないのか

食事の初めに野菜を食べる野菜ファースト、次にたんぱく源の肉や魚、最後に炭水化物を食べることが血糖値の上昇を抑える方法ということを先に紹介しましたが、この食べ方は日本人の伝統的な食事の作法ではありません。このような食べ方をしていると、年齢を重ねたときに体質に合った淡白な食事に変えられなくなる、ということを日本メディカルダイエット支援機構では栄養指導の教室などで紹介させてもらっています。
日本人の伝統的な食べ方は、初めに何を口に入れるかは個人の自由で、ご飯から始める人もいれば汁物から始める人、おかずから始める人、あえて野菜ファーストの人もいます。スタートは何であっても、おかずの味が濃ければご飯を口に入れて、味が薄くなったら味噌汁を飲むといったように口の中で味を調整しています。この食べ方は“口中調味”と呼ばれています。
疲れているときには薄味になり、元気を出したいときには濃い味を好むようになるということで、その日の体調によって味の調整は異なっています。毎日の体調に合わせて口中調味を続けていると、年齢によって徐々に変化していく体調に合わせて食べ物の傾向を変えていくことができます。欧米人は青年期の食事を一生涯続ける傾向があるのに対して、日本人は年齢を重ねると肉から魚に、洋食から和食に、濃い味から薄味に変化していきます。これが老化しはじめた血管の健康を保つのに役立ち、日本人の長寿を支えていると考えられています。
ご飯があれば、どんな料理も食べられます。世界中のありとあらゆる料理を楽しむことができるのも、あまり味がないご飯のおかげです。パンも麺類も味付けが必要で、主食を食べるだけでも塩分や脂肪などを摂ることになります。味がついていると食べられる料理が限られてきます。塩辛が大好きな人でも、これをパンと一緒に食べるというのは抵抗感があります。他に食べにくい組み合わせは数多くあります。
中国でも韓国でも、ご飯を食べています。今でこそ高性能の炊飯器のおかげで、大陸の硬水であっての軟らかく炊けるようになったものの、日本のような軟水ではないので普通に炊いたら芯が残ることになります。そこで伝統的な料理では煮る、蒸す、炒めるという調理法になり、どうしても味付けが必要になります。そのために、ご飯を食べていても日本のように口中調味ができにくく、なかなか食傾向を変えることができないということです。