障害者と健常者が一緒に楽しめるユニバーサルスポーツ

バリアフリーとユニバーサルの違いについては、わかっているようで区別がつかないという人が多いようです。バリアフリーは障害者や高齢者が障害となる物理的な障壁を取り除くことで、ユニバーサルは障害者も、それ以外の人も同じように過ごせることを指しています。ユニバサールの立場で健康づくりに取り組む中で、注目をされているものの一つにユニバーサルスポーツがあります。
ユニバーサルスポーツについては、日本福祉大学の藤田紀昭教授が「障害の有無に関係なく、一緒に実践できるスポーツ。また、体力、体格などで有利な人だけがゲームの主導権を握り、活躍するのではなく、それらに劣る人も同じように得点獲得や勝敗にかかわることができるように考案され、構造化されたスポーツ」と定義しています。
もともとのユニバーサル(universal)は、すべてに共通すること、普遍的であることを示す言葉で、ユニバーサルな視野をもってスポーツの可能性を最大限に活用して、障害者も健常者も、また年齢にも左右されずに等しく参加して、健康面だけでなく、幸福につながる多方面の利益が得られる環境づくりを目指しています。
障害者が実践することができて、発達障害者にとっても活躍の場にもなるユニバーサルスポーツは、体力や体格、技術面で、これまでスポーツに積極的に参加してこなかった人たちにも、また高齢者にも継続してもらえるスポーツとなります。高齢化は身体の障害化にもつながり、超高齢社会においてはユニバーサルスポーツの重要性が、ますます高まります。スポーツを通じた健康づくりを実践するためにはユニバーサルスポーツの実施とともに、栄養、生活法などの学習も重要になります。運動、栄養、生活法(入浴、睡眠、排泄など)を組み合わせた健康づくりで実績を積み重ねることができれば、多くの対象者にも共通して実施できる包括的なユニバーサルスポーツとして広く普及することができるようになります。
ユニバーサルスポーツは、競技者として参加するだけでなく、多くの関係者が指導や組織運営などに広く関わることができるものであることが期待され、これまでスポーツとは距離を置いてきた人たちが力を発揮することができる新たな活躍の場とすることができるということです。