ブドウ糖の過剰摂取が発達障害に影響する

発達障害児の改善のための方策について書かれた書籍は数多くあり、専門書を数多く並べる書店では発達障害関連は80種類以上、そのうち改善策について書かれたものは30種類以上あります。食事での改善ということになると4〜5種類ですが、発達障害の自閉症スペクトラム障害の特性でもある感覚過敏の改善について書かれたものと、もう一つ気になってしまうのが糖質制限の書籍です。糖質を制限することで、脳の発達のズレである発達障害が改善されるという内容で、具体的な糖質制限の方法について触れられています。
糖質制限はダイエットや糖尿病の改善によいということが言われ、いまだに人気のある健康法ですが、脳に必要なブドウ糖を減らすことに抵抗感がある人は少なくなりません。脳は全体の重量の2%ほどでしかないのに、酸素とブドウ糖は約25%も使っています。それだけ重要な器官だということです。全身の細胞のエネルギー源となるのは糖質(ブドウ糖)、脂質(脂肪酸)、たんぱく質(アミノ酸)の3種類で、ブドウ糖が不足したときには脂肪酸が使われ、ブドウ糖も脂肪酸も不足したときには本来はエネルギーとはなってもらいたくないアミノ酸も使われます。
しかし、脳の場合には血管から脳細胞につながる関門をブドウ糖しか通過することができないので、ブドウ糖が唯一のエネルギー源となっています。脳細胞が使うブドウ糖は1時間あたりに4〜5gなので、1日には100〜120gのブドウ糖が必要になります。糖質のうちブドウ糖の量は3分の1ほどで、最も多い砂糖でも半分の量です。これを見ても、相当の量が脳には必要で、厳しい糖質制限をするのは危険だということがわかります。
それでも糖質制限が発達障害の改善に役立つとしているのは、低血糖を防ぐ効果があるからです。ブドウ糖を摂りすぎると、膵臓からインスリンが大量に分泌されて、そのために血糖値が急に下がって、脳の機能を低下させることになるからです。