発達障害は低血糖が原因なのか

発達障害児は極端な偏食が指摘されています。自閉症スペクトラム障害の感覚過敏のために食べられない食品や料理があるということのほかに、注意欠如・多動性症候群のために落ち着いて食事ができないことも要因となっています。偏食があるからといって放置しておくわけにもいかず、空腹を感じたときには間食を摂ることができるようにするのも当然のことです。子どもの成長にはブドウ糖が必要で、おやつも3食の食事と同様に重要なものです。甘いものはおいしく感じて、食べやすいことから、3食が充分に取れない子どもの場合には、どうしてもブドウ糖の摂りすぎになりがちです。
ブドウ糖が短時間のうちに血液中で増えると、その量に合わせて膵臓からインスリンが大量に分泌されます。インスリンには細胞にブドウ糖を取り込ませる働きがあり、分泌量が多くなるほど血糖値が急に下がることが起こります。これが低血糖で、血糖値は60〜70mg/dlとなっています。血糖値が50mg/dl以下になると眠気、脱力、集中力低下、頭痛などが起こります。血糖値が30mg/dl以下になると痙攣や昏睡などになって意識が戻らないことにもなりかねないので、本能的に甘いものを食べるようになります。
ここまでのことはなくても、甘いものを食べて低血糖になり、また血糖値を上昇させるために甘いものを食べて、再び低血糖になるという悪循環にもなりかねません。このようなことになると脳の障害を引き起こしかねないことになり、発達障害の危険因子となります。あくまで危険因子ということで、低血糖がすべての原因ではないものの、脳が耐えられる容量が少ない子どもの場合にはレベルを超えてしまい、発達障害の引き金になってしまうことにもなるということです。
血糖値が低くなると、自閉症スペクトラム障害の状態に近くなるような印象が抱かれがちですが、血糖値を上昇させるために自律神経の交感神経の働きが盛んになり、副腎からアドレナリンが大量に分泌されるようになります。このために多動になったり、攻撃的になることもあります。こういったことが続いて自律神経の調整が乱れると、血糖値が低くなっても反応が起こりにくくなる無自覚低血糖となり、発達障害でなくても発達障害の特性に近い状態もみられるようになるので、判断は非常に難しくなっています。
発達障害児の偏食を克服するのは大変であるのは理解していますが、それでも低血糖の影響が出ないようにするために、3食の食事でしっかりと栄養を摂取して、おやつは補助のための内容としておきたいということを講演などでは強調させてもらっています。