無理やり食べさせられた食事は身体にとってよいのか

“食”は人を良くすると書かれている、とよく言われます。上の部分は合わさっているので、これは人を表しています。“分”の上の部分は離れていて、下の刀で切られたためと言われています。健康を維持するためには、三大エネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)のうち必須脂肪酸のリノール酸、α‐リノレン酸、アラキドン酸、必須アミノ酸のイソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、バリン、ヒスチジンは欠かすことができません。
このほかに必須ビタミンがあり、脂溶性ビタミンのビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、水溶性ビタミンのビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂、ビタミンC、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンがあげられます。必須ミネラルはナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデンです。
これらの必須成分は体内では合成されずに、食事から摂らなければならないものですが、たった一つの食品から摂るのは不可能です。そのために数多くの食品を食べる必要があり、それを表したのが“御加数”(おかず)です。
身体に必要な栄養素は、それが含まれた食品を食べていれば、必要量が含まれていれば、それで栄養補給ができるのかというと、そんなに簡単なことではありません。栄養成分によって吸収率に差があり、例えばカルシウムは約30%、鉄はヘム鉄(肉や魚介類)が15〜35%、非ヘム鉄(野菜や海藻)が2〜20%となっています。
このような科学的なことだけでなく、心理的な側面もあって、嫌いな食品を食べたときには吸収率が低くなることが確認されています。このことを考慮しないで、一定量の食品を食べれば、計算上の栄養素が吸収されると考えることはできません。
発達障害児の特性の一つである極端な偏食をなんとかしようと、無理やりに口に突っ込むようなことをすると、口から入っても、それが身体のためになるとは限らないのです。