どんなふうに自分のことを呼べばいいのか

自分のことを指す一人称の代表といえば「私」でしょうが、これを“わたし”か“わたくし”と読みます。男性なら「僕」「俺」「自分」というのも多いでしょう。「おいら」というのは俺等の変化系で、東北に行くと「おら」が多くなります。何もドラゴンボールの孫悟空やクレヨンしんちゃんの野原しんのすけの専売特許(2人なのに変な表現?)ではないのです。この変化形で「うら」や「わ」「わー」も登場します。わではなく「あ」という地域もありますが、「わ」からの変化か「私(あたし)」の変化なのか気になるところです。
「儂」(わし)というのは少し偉そうな感じもしますが、「俺様」よりもよいかという感じです。女性では「あたし」や「あたくし」という言葉も使いますが、「あたい」となると上品さは感じないようです。「あっし」というのも砕けた感じです。「わちき」「わっち」「あちき」というのもあって、あちきは江戸時代の花魁(おいらん)が使っていました。
関西では「わて」「わい」というのも使われます。もとは関西で使われていた「うち」は今では広く使われるようになりました。
少し堅苦しいものでは「小生」「吾人」「愚生」という表現もあり、「おれっち」とか「ぼくちゃん」「ぼくちん」となると現代風すぎます。
これとは逆に古風な一人称では、時代劇に出てくるのは「拙者」「某」(それがし)、「身ども」「手前」「我輩」(我が輩)がよく出てきます。我輩は「吾輩」(吾が輩)とも書かれます。その時代の地方では「おい」や「おいどん」も出てきます。もっと時代を遡ると奈良時代の「麻呂」(麿)、「余」(予)、「わらわ」などがあります。
職業上に使われるものとしては「小職」「本職」「小官」「本官」「当職」「弊職」と続き、お坊さんだと「拙僧」「愚僧」「愚禿」を使ったりします。
なんで、こんなことを書き綴っているのかというと、健康セミナーのときに自分のことを「爺」(じじい)と呼んでいる人がいて、珍しいなと思ったもので、他にどんな変わった呼び方があるのかと思ったからです。ここには出て来なかったのですが、天皇陛下は、かつて「朕」(ちん)と呼んでいたこと思い出しました。