発達障害児は、容量が少ないパソコンのようなものだと言われることがあります。メモリ容量が少ない時代のパソコンは動きが重くて、フリーズしやすく、無理をすると終了することもありました。それと同じように、耐えられる容量が少ないために疲れやすく、上手に対応できないという考え方をされがちです。
画期的なパソコンソフトとして登場したWindows 95を搭載したパソコンは512MB(メガバイト)のメモリ容量でした。スマートフォンではiphoneの初代の3Gのメモリ容量は128MBで、機能が低かったこともあって、パソコンに比べるとメモリ容量はいらないものという考えもされたものです。そこから機能が高まり続け、今では一般的な使い方のインターネット、メール、各種記録というレベルならパソコンよりも高いレベルとなり、そのメモリ容量は4GB(ギガバイト)にもなっています。
Windowsは1〜2GBもあれば起動させられて、4GBあれば充分だと言われる中、スマホのほうが機能は高まってしまいました。これだけのメモリ容量が必要なほど機能が高まっているのは、現状の世の中に例えられていて、多くのメモリ容量がなければ対応できない状態になってしまったという考え方です。
脳の神経細胞は20億個ほどとされていますが、そのうちの10%しか使われていないとアインシュタインが発言してから、これが常識として伝えられてきました。もっと少ないという説もあれば、20%以上という説もあって実際のところはわからないのですが、どれだけの割合であったとしても使われていない部分が多いことは間違いないようです。
なんらかの異常があって、脳神経細胞の数が減ったとしても、他の細胞が代わりをするので、大きく機能が低下することはないはずです。脳神経細胞には、わずかの損傷でも機能が低下することはあるものの、発達障害だけが発現している人はMRIで画像診断しても特に異常はみられていません。そういうこともあって、発達障害は脳の認知機能や知能指数には問題がなくて、脳の発達のプロセスに異常が起こって発達にズレがある状態と考えられているわけです。
メモリ容量の不足ではないとしても、同じ負荷がかかっているのに反応が悪くなる状態で、パソコンやスマホのように再起動させて解消するわけにはいかないので、能力の不足状態を抱えたまま過ごすしかない、それが生涯にわたって続くということが説明されています。