発達障害児には偏食と身体の冷えが多いことが指摘されます。偏食は発達障害の自閉症スペクトラム障害に特徴的にみられるもので、感覚過敏から五感が正常に反応しなくなり、味覚、触覚、聴覚、聴覚、嗅覚の障害が起こりやすくなります。食べ物を食べることは五感のすべてを使っていて、五感の障害は食べられないもの、食べられない料理を増やす結果につながります。
子どもの食事は、自分でコントロールできるわけではなくて、作っているのは家族です。その家族が状況を把握して、その状況に適した食材選び、調理をするので、家族へのアドバイスが重要になります。子どもの食事に関する書籍もネット情報も多く存在していて、いろいろな工夫があげられています。これはよい情報ではあるものの、食事の基本、その前の消化・吸収・循環・代謝のメカニズムにつながる生理学の基本を理解していないと、せっかくの状況が活かせなくなります。
発達障害児が食べられないというものは、五感の障害だけでなく、食べたくないと拒否しているのに無理に食べさせるようなことをした家族に対しての不安感、不快感が障害による反応を強くしてしまうこともあります。家では食べられないのに、外では食べられるということがあるのは、そのことが原因になっていることも少なくありません。
ここまでは子どもについての話ですが、発達障害は生涯にわたって治るものではなく、ずっと続くものであることから、発達障害児を支える親は心身の健康を保って、子どものケアに注力しなければならないということが指摘されます。子どものケアに力を注いでいくには、健康を保つように、食事の意味と栄養メカニズムを知って、食事をコントロールしていく必要があります。自分が食べるものと子どもが食べるものが違うと、それだけ料理は大変です。家族にメタボの人や生活習慣病の人がいると、さらに料理の種類が増えることになって、ますます料理をする人の負担が高まっていきます。
身体が冷えるのは、それだけ体内でエネルギー産生が起こっていない証拠とされます。エネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)を使って作り出されるエネルギーのうち半分ほどは体熱に使われています。エネルギー産生のためには充分なビタミン、ミネラルも必要で、それが偏食では充分に摂れなくなるので、それぞれの状況に合わせた対応が必要になってくるということです。