感染拡大から考える高齢者の医療費

新型コロナウイルスは高齢者ほど、基礎疾患の高血圧症、糖尿病、心疾患などがある人ほど感染しやすく、重症となるリスクが高く、さらに死亡率も高まっています。これは年齢を重ねるほど免疫力が低下すること、基礎疾患がある人、それも複数の疾患がある人ほど免疫力が低下していくからで、免疫を高い状態に保つことが重要となるのは以前から言われ続けてきていることです。
年齢のほうは、どうにもならないとしても、基礎疾患を治療してリスクを低くすることはできます。そんなときに、以前から検討されてきた高齢者の医療費負担の話が再燃しています。現在の高齢者の医療費は65〜69歳が現役世代と同じ3割負担で、70〜74歳が2割負担、75歳以上が1割負担となっています。これは原則であって、現役並みの所得がある高齢者は医療費負担も現役並みの3割となっています。
これを2022年には75歳以上は2割負担にしようというのが改定案の内容です。超高齢社会となって高齢者が増えすぎていて、年齢を重ねるほど医療費は増え続けていきます。特に70歳からは急に増えていきます。本来なら医療費が増える年代の負担を減らそうというのが、これまでの考え方で、これが保険制度の正しい判断だと考えるところですが、逆に医療費が増える年代に負担を大きくしようとしているわけです。
年齢を重ねるほど医療費が増えるのなら、免疫力が大きく低下する70歳になる前に基礎疾患の治療をしてほしいと思うところですが、生活習慣病は甘く考えられているところがあって、先回りして予防・改善をしようという人が少ないのが現状です。高齢者は生活習慣病があると免疫力が低下して、新型コロナウイルスだけでなく、既存の感染症、これから発生するかもしれない新たな感染性によっても命が失われる危険性が高まるということを考えると、そんなときに医療機関を受診して、いち早く生活習慣病を改善しようという気持ちに水を差すような変更は、どうかという声が高まっているということです。