吃音というのは、一般に「どもる」といわれる話し方に関する発話障害を指しています。年齢や言語能力に比べて、なめらかに話すことが困難な状態で、複数の特徴的な症状のうち一つ以上があるもの場合に診断されます。その症状は、以下の3種類です。
1 連発・反復(単音や単語の一部を繰り返す)
例:「き、き、き、きのう」
2 伸発・引き伸ばし(単語の一部を長く伸ばす)
例:「きーーのうね」
3 難発・ブロック(単語の出始めで詰まる)
例:「……っきのう」
吃音障害の症状は幼児期に発現するのがほとんどですが、思春期から目立ってくる場合もあります。幼児期から吃音障害が出た場合の過半数は、学童期や、それ以降の成人するまでに症状が消失したり軽くなることがありますが、中には成人後にも持続する場合があります。
吃音障害は、発達性吃音と獲得性吃音に分類されていますが、9割ほどは発達性吃音となっています。発達性吃音としては、次のような特徴があります。
・幼児が2語文以上の複雑な発話を開始する時期に起きやすい
・幼児期(2〜5歳)に発症する場合がほとんど(小学生以降の発症もある)
・発症率は5%程度
・発症率に国や言語による差はないと言われる
・有病率は約1%
・男女比は4:1と男性に多いが、幼児期は男女差がない
・発症は体質的要因(子ども自身が持つ吃音になりやすい何らかの特徴)、発達的要因(身体、認知、言語、情緒が爆発的に発達する時期の影響)、環境因子(周囲の人との関係や生活上の出来事)が互いに影響して起こる
症状が続いたり、言葉の出にくさが強くなってくると話すことに嫌悪や恐怖が起こって、さらに言葉が出にくくなりがちです。