新型コロナウイルスの感染は免疫を高めることによって防いだり、もしも感染したとしても悪化しないようにすることができます。免疫を高める方法として前に体温を高めることについて紹介しましたが、腸内環境を整えることによって、免疫を強化することができます。それは、腸管に存在している免疫細胞が集まったパイエル板の存在で、腸管に病原菌などが触れるとパイエル板の中にいる白血球のマクロファージが取り込んで処理した病原菌などの情報を伝える情報伝達物質のサイトカインを放出します。これを受けて、病原菌などに適したリンパ球が活動を始めます。
腸管が汚れていると病原菌などとパイエル板の接触が減り、そのためにマクロファージが完全には働かなくなり、全身の免疫力が低下するようになります。だから、腸内細菌の善玉菌を増やし、悪玉菌を減らして、便通をよくすることが重要です。便通がよくなれば悪玉菌が発生させた毒素(有害物質)が早く排出されるようになり、毒素が大腸壁から取り込まれにくくなります。取り込まれて血液中に入った毒素は白血球によって排除されますが、そのために白血球が使われると、病原菌などの処理が遅れてしまうことにもなります。
腸内環境を整えるためにすすめられているものの一つに粉ミルクがあります。大人の粉ミルクも販売されているのですが、赤ちゃん用の粉ミルク(生後1年まで用)は安くて、栄養バランスもよく、腸内の善玉菌がエサとしている乳糖が多く含まれているので、善玉菌が増えやすくなっています。ダイエットのためにも使われていて、朝食の代わりに粉ミルクだけを飲む方法だけでなく、朝食は普通に食べて、飲み物として粉ミルクを飲むという方法もあります。
血圧や血糖値、中性脂肪値などを安定させるためにも効果があることが知られていて、新型コロナウイルスは基礎疾患(高血圧症、糖尿病、心臓病など)があると感染したときに重症化しやすいという事実を考えると、粉ミルクによって生活習慣病を予防することは、二重の意味で感染防止につながるということになります。